ぬまっち先生コラム

子どもの「自ら成長する力」を引き出すユニークな授業を展開し、教育界のみならずビジネス界からも注目されている小学校教諭、「ぬまっち」こと沼田晶弘さんの連載コラムです。沼田先生の教育法は、掃除の時にダンスしたり、クラス中で賞金稼ぎに挑んだり、子どもが先生の代わりに教えたりと、一風変わったものばかり。そんな型破りな教室で、子どもたちは自己肯定感を高め、自らチャレンジする力を育てていきます。その様子は2016年5月5日の読売新聞社説でも紹介されました。沼田先生が「世界一のクラス」と呼んだ6年生の子どもたちが今春卒業、沼田先生は現在、新しい3年生クラスを「世界一」にするため日々奮闘中。コラムは毎週月曜日に更新します。
ぬまっち先生コラム68 ぬまっちを語ろう ~元教育実習生座談会(3)(2017年2月20日)

 


第68回 【コラム特別編】ぬまっちを語ろう ~元教育実習生座談会(3)


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■出席者(いずれも仮名)

春川先生 公立小で小学校5年生の担任。教員3年目

夏原先生 公立小で小学校1年生の担任。教員1年目

秋山先生 公立小で2年生(特別支援学級)を担任。教員1年目

冬木先生 公立小で1年生を担任。教員2年目

司会:石田汗太(読売新聞教育ネットワーク事務局)

 

♦工夫すればぬまっち流も実践できる

――沼田晶弘先生の実践をこんな風にアレンジしている、という例はありますか?

 

夏原 私のクラスでは「ダンシング掃除」(>>第1回~第3回「踊る教室」)はしませんが、掃除の時間に音楽を流すことは取り入れています。時計が読めない低学年の子どもたちに、時間を意識して行動させるために有効だからです。でもだんだん要領よくなってくると、曲が終わる前に掃除が終わるようになって、最後のサビで自然発生的に踊る子が出始めたんです。今では子どもの目標が「掃除の最後をダンスで締めたい」になっています。

 

春川 沼田クラスでは日直を「キャプテン」って呼んでますよね。そのまま取り入れるのもシャクなので(笑)、2年生の子どもに「何て呼ばれたい?」と聞いたんですよ。そうしたら「隊長」というので「隊長制度」を作ったんですが、ノリノリでした。びしっとポーズを決めて「○○隊長、ご苦労さま!」みたいな。勝手にバッジ作ったりして。ところが、4年生のクラスだとあまり乗ってこない。やっぱり発達段階に応じてなのかなと思いました。

 

日直じゃないよ、キャプテンだから!

冬木 教室を移動する時「廊下を走るな」じゃなくて、「今日は忍者になって移動!」って言ったり。ワードバンク、ルパンタイム、クリティカルディスカッション。沼田方式はカタカナ言葉が多すぎるなと思っていましたが、でも子どもはそういうのが好きなんですよ。学校の廊下に線が引いてあって、その線からはみ出ないように歩いてほしいんですが、その係を「ラインマン」と名づけたらすごくやる気になった(笑)。ネーミングって大事だなと思ったのも沼田先生の影響ですね。

 

♣アクティブ・ラーニングへの不安と期待

――教育現場で何かと話題になってきた「アクティブ・ラーニング」。2月14日に文部科学省が公表した次期学習指導要領案ではこの呼称はなくなりましたが、これからの教育に求められる重要な考え方であることに変わりありません。アクティブ・ラーニングについて、みなさんどうとらえていますか。

 

春川 「子どもが主体的に学ぶ姿」かなあ......。子どもが自分から動いたらアクティブ・ラーニングではないでしょうか。ただ、現場の先生は「今の何を変えればアクティブ・ラーニングになるのか」と悩んでいると思います。

 

冬木 小学1年生の場合、こっちがただしゃべるだけでは、まず授業が成立しません。アクティブ・ラーニングという言葉が出てくるずっと前から、同じようなことは小学校では実践されてきたと思います。そういうことを熱心にやってきた先生ほど、今の流れに戸惑いが大きいのではないでしょうか。

 

夏原 「グループで話し合いをしよう」「学び合いをしよう」みたいな方法論ばかりが先行して、それを一斉に学校でやらなければならない空気になって、アクティブ・ラーニングってそういうことなのかなあ......。

 

春川 「教え込み式ではない教育を」というのはわかるんです。昔より少なくなったとはいえ、先生の板書を生徒がひたすらノートに写すような授業がまだあることは事実です。ただ、ベテランの先生ほど「考える基礎も教えないうちに『自由に議論しろ』はムリ」と言っていますね。

 

夏原 私は「自分の思考がアクティブになること」がアクティブ・ラーニングだと思っているので、「みんなでディスカッションする」ことが前提ではないと思う。一人で何かに向きあって考える時間も大事だと思うし。そこはモヤモヤするなあ。

 

春川 でも、グループやペアにすると、クラスの中で話す子が圧倒的に増えるということはあると思う。普通の授業では全然手を挙げない子が、グループになると何かの発言をして、「それいいじゃん」って友だちに言われて前向きになれる。それだけでも貴重という感じはします。

 

♥「すべての学校で一律に」は難しい

――秋山先生は特別支援学級を教えておられますが......。

 

秋山 言語理解力の問題があるので、特支でいわゆるアクティブ・ラーニングは厳しいと思っています。特支では、子どもに応じた個別の指導計画を立てて教えていきますから、マンツーマンに近くなります。あと、通信制学校の先生と話したことがあるんですが、通信制の生徒たちは、自分から何かを表現したり、人と関わったりするのが最初から苦手なわけです。アクティブ・ラーニングというと普通の学校ばかりスポットが当たりがちですが、学校には特支もあるし、通信制もあるし、夜間もある。そんな学校に、一律でアクティブ・ラーニングを取り入れるのは難しいんじゃないかとその先生は話していました。

 

春川 自分から発信できない子は通常学級にもいます。そういう子はグループになっても発信できないかもしれないけれど、じゃあ何か書くことはできるかなとか、その子ができるような方法をみんなで考えてみようとか、そういうことはできるかも。でも、その代わりグループになったら先生の目が届きにくくなるので、先生が子どもひとりひとりの状況をしっかり把握していなきゃいけない。一日中一緒にいる小学校ならまだしも、中学や高校では大変かもしれませんね。


(次回は2月27日に更新します)

 

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   読売新聞東京本社 教育ネットワーク事務局 ぬまっち先生係

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