ぬまっち先生コラム70 さらにぬまっちに聞け!(1)

研究発表会には全国から多数の先生が参加してくれました。第5回クリティカルディスカッションで熱くなる子どもたち(2月3日、世田谷小で)

沼田 晶弘


第70回 さらにぬまっちに聞け!(1)


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 今回から3回に渡り、ふたたび沼田先生が読者からの質問に答えるコーナーをお送りします。「先生をずっと続けていけるのか?」という若い先生の悩み、教師になりたい中学生からの質問、「教室から教育全体を変えられますか?」という教育研究者からの率直な問いに、ぬまっちが真剣に答えます!(聞き手・読売新聞教育ネットワーク事務局 石田汗太)

 

Q 先生という仕事をずっと続けていけるでしょうか?

――新潟県の小学校の先生Y・Hさんから。まだ20代の若手です。「先生という仕事をずっと続けていけるだろうか」と毎日のように考えてしまうそうです。沼田先生はそんなことを考えたことはありませんか? という質問なのですが......。

 

♦ボクだって考えてしまうことはあります

ぬまっち ボクだって「この仕事を続けていけるのかな」と思うことはありますよ。

 

――あっ、そうなんですか。

 

ぬまっち でもボクの場合はネガティブでなく、ポジティブな意味ですけどね。ボクは今の先生という仕事が好きですが、一生「先生でなくてはならない」とは思っていないというか......。もし、今後、先生よりもっと向いている仕事があると思ったら、そっちに行く可能性だってあると思っていますから(笑)。

 

――そもそも、沼田先生はかなりいろいろな仕事をされて、遠回りして先生になっています。

 

ぬまっち そう、30歳過ぎてからですからね。大学時代に教育実習を経験した時は「自分は先生になるのはムリ」と思いましたから......。どうも、子どもに合わせて口調を変えるようなことが苦手なんです。今でも低学年になるほど苦手感があります。

 

♣先生だってレベルアップできる

――日本の先生の平均勤務時間が、他国よりかなり長いことはよく知られています。「先生をずっと続けていけるのか?」と自問自答する若手の先生は、全国に結構多いのではないでしょうか。

 

ぬまっち 若手の先生がすごく忙しいのはわかります。仕事の要領が分からないから勤務時間が長くなりがちだし、他の先生や保護者たちとの人間関係に慣れないこともあるでしょう。今は若くて体力があるから何とか頑張れるけれど、この先何年も同じことができるだろうか? そんな悩みかなと推測します。

 でもそれは、授業のやり方や校務のこなし方を、「ずっと今と同じスタイル、同じ頑張りでやり続ける」という無意識の前提があるからではないでしょうか。先生という仕事について、やり方の発想を変えてみてもいいと思います。

 

――どういうことでしょうか。

 

ぬまっち まず若い先生に知ってほしいのは、「人間はどんどんレベルアップできる」ってことです。毎年成長するのは教室の子どもだけではありません。ボクの場合、先生1年目に比べて、今の方が「学級経営に費やす仕事量」は減っています。さすがに午後5時の定時に毎日帰るのは難しいけれど、残業で遅くまで残ることもほとんどなくなりました。

 別にサボっているわけではありませんよ(笑)。このコラムでずっと書いてきていることですが、子どもたちが自分で考え、自ら進んで動くような関係とシステムを、ボクと子どもたちとの間で築いているからです。最初からコラムを読み返していただければ、その実例がたくさん出てくるはずです。

 例えば今の3年生で言うと、出会ったばかりの昨年の4月は、ボクが朝の打ち合わせでちょっと遅れて教室に行くと、ただ遊んでおしゃべりしてました。ガラッと扉が開くと、ヤベーってみんな座っておとなしくなる。でも最近は、ボクが入ってきても全然動じない。「あ、オレたち勝手にプロジェクト始めてるから。今ごろ来たの?」みたいな感じ。ボクはもういてもいなくても関係ない(笑)。

 

♥「自分で考えて動く子ども」を育てよう

――どうしたらそんな関係が築けるんでしょう。

 

ぬまっち コラムの第31回を読んでいただきたいんですが、最初に「こびとさんはもういない」宣言をするのが一つの方法です。「先生どうしたらいいですか」と子どもに聞かれた時、「こうしなよ」ではなく「どうしたらいいと思う?」と聞き返すんです。そして、子どもが自分で判断して動いたら、ニッコリして「ありがとう!」と必ずお礼を言う。ひたすらこの繰り返し。最初はかなり面倒くさいですよ。でも、それを粘り強く繰り返していると、子どもは自分で考えて行動するようになります。ボクは何年もそのようにやってきました。

 面倒くさいから、時間がかかるから、目の前のことを何でもかんでも先生が自分でやっちゃうのが一番よくないパターンです。それを続けると、先生の仕事は減るどころか増えていきます。子どもはいつまでも自分でやる癖がつかない。先生はイライラして子どもにさらに指示を出すようになる。悪循環で、まったくいいことがありません。

 

――なるほど。多少時間がかかっても、そんな仕組みを意識的に作っていけば、子どもは褒められて楽しいし、先生もラクになるということですね。

 

ぬまっち 「もう3月だから手遅れ!」と思うかもしれませんが、今からだってできることはあると思いますよ。質問してくれた方への答えになっているかどうかわからないけれど、もし仕事が忙しくて、将来パンクしそうというのが当面の悩みでしたら、あなたがレベルアップすることで解決可能です。それは「子どもとの信頼関係のレベルアップ」ということでもあります。それで精神的・時間的に余裕ができれば、他の悩みにも対処しやすくなるのではないでしょうか。


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   読売新聞東京本社 教育ネットワーク事務局 ぬまっち先生係

(2017年3月 6日 10:00)
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