ぬまっち先生コラム85 中学生がやってきた(4)

放課後、4人の中学生から熱心な質問を受けました(5月31日、世田谷小で)

沼田 晶弘


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■話を弾ませる必殺ワザ


 中学生たちの質問が続きます。

 

Q 私は普段人見知りで、しゃべる時に言葉が出てこないんですけど......。

 

ボク 今日、めっちゃ子どもとしゃべってたんじゃない?(笑) 教育実習でしゃべれない人って、「間違ったらどうしよう」とか「的外れなことを言うと恥ずかしい」と思っているからなんです。一つ便利なワザを教えてあげる。「これってどうなってんの?」って聞けばいいんだよ。例えば教室の壁新聞を見て「これって毎日書いてるの?」って聞くだけで、子どもたちは喜んで話しますよ。相手に関心を持って、どんどん質問するのが話を弾ませるコツです。

 

Q 教えていて、どうしてもわからない子がいたらどうしますか?

 

ボク 小学校のうちは、どんな子でもある程度できるはずだとボクは思っています。それができないとしたら、その子の理解力のせいじゃなく、こちらの教え方が悪いんじゃないかとまず考えます。何が足りないのか、どこか抜けているのか......。

 「ウチのクラスの子はできなくて」と言う先生がたまにいるけど、ボクはそれは意地でも言いたくない。まだ何かうまい方法があるはずだと思ってるから。

 

■信頼関係は日常の積み重ね


Q 子どもと信頼関係を築くためにはどうしたらいいですか。

 

ボク これは本当によく聞かれるんだけれど、簡単に答えるのは難しいよー(笑)。こうやったらすぐ高まりますという方法はないよ。子どもの意欲を引き出すための信頼関係は積み重ねだから、何もないところから一気に高まるものではないんです。ピンチの時助けてくれたり、困ったとき話を聞いてくれたり、叱る時もわかりやすく叱るとか、コップに少しずつ水をためていくように、日頃からじわじわ積み重ねていくしかない。それが、どこかでポンと弾ける瞬間があるということです。ボクは子どもたちと日記を毎日交換してるし、とにかく普段から子どもとたくさんしゃべることを心がけています。

 

Q 先生になるために必要なことはありますか。

 

ボク 以前にも同じような質問に答えたことがあるけれど、まずは教員免許を取れるだけの最低限の学力。あと、中学生だったら、「うまく行かない時があって当たり前」というのをそろそろ知っておいてほしい。頑張ったからって必ず成功するわけじゃない。失敗した時落ち込むのはいいけど、「何が足りなかったか」を考えて立ち直れるようになってほしい。あとは体力かな。最初のうちは体力使うから。

 そうそう、こないだうちのクラスで盛り上がった話題を教えてあげる。

 

 (1)1+1=2

 (2)1+1=11

 (3)1+1=田

 

 「どの答えを言った人が一番カシコイか?」っていうテーマです。これが算数の授業だったら「2」以外は間違いだけど、人生を考えた時、正解はそれだけじゃないよね。そんな話を、ボクのクラスでは毎日やっているわけです。

 

■ボクからも最後にひとこと


 最後に、ボクから4人に今日の感想を聞いてみました。

 「自分が小学生だった頃よりもみんな授業が楽しそうで、しかも集中していて、こういうやり方で学べれば勉強が好きになったかも、って思いました」

 まだ中学生でしょ? 好きになったかもって......過去形にするのはまだ早いだろ!(笑)

 「掃除の時、ちゃんと作業をやっている時と、ダンスを踊っている時の切り替えが速くて、すごいなと思いました」

 うん、ダンスが始まった時、キミたちはめっちゃいい顔をしていたよ。(笑)

 「沼田先生とまったく同じようにするのはムリかもしれないけれど、こんな風に、変わった視点から子どもたちに教えることはやってみたいと思います」

 今日ははるばる遠いところから来てくれてありがとう。では、ボクからもお返しにひとこと。

 授業を聞く時って、みんな受身になってると思うけれど、もし先生になりたいんだったら「カウンターオファー」を考えてほしい。対案ってやつです。「こんな風にやったら面白くなるのに!」「こうやったら中学生はもっと喜ぶのに」って考えながら授業を受けてみようよ。そうすることで授業も面白くなるし、きっと将来の勉強にもなると思いますよ。

 ではでは、修学旅行の残りを楽しんでね!

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>>第86回 セルフラーニング(1)

 

(2017年9月25日 10:00)
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