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開成、女子学院、広尾、私立中高一貫3校長座談会 ~「高大接続」への取り組みと課題~(2017年2月27日)

 入試と高校、大学教育を一体的に改革する「高大接続改革」が進められている。文部科学省の有識者会議が昨年3月にまとめた最終報告では、マークシート方式の大学入試センター試験に代わり、記述式を導入した新テストを2020年度に導入し、思考力や主体性を重視する入試への転換を求めた。独自の教育を行う私立中高一貫校の校長3人に、高大接続改革への取り組みや課題について話し合ってもらった。(司会は教育コンサルタントの森上展安氏)


 

◆入試改革の是非

――今回の大学入試改革、学習指導要領の改定をどのように考えるか。

 

柳沢幸雄(やなぎさわ・ゆきお) 開成中学校・高等学校校長。東京大学工学部卒。システムエンジニアとして勤務後、大学院で博士号取得。ハーバード大学准教授、同大併任教授、東京大学教授を歴任。同大名誉教授。2011年より現職。69歳。

柳沢 記述式問題の導入など、改革の方向は正しい。ただ、何かを変えよう、足そうとするときは、何かを削除しなければならない。生徒たちに余っている時間はなく、これ以上詰め込んでも疲弊するだけだ。さらに波及効果まで見通さないと、入り口とアイデアは良かったけれど結果は悪かった、ということになる。

 

鵜崎 何を評価材料にしていくかという点で、より教育の本質的なところに近づいたのではないか。ただし手段ばかりが先走り、試験にどう対応すればいいのかにとらわれると、本来つけるべき力が何であるかを見失ってしまう。

 

田邉 記述式の問題は中学入試では当たり前で、今さらという感じがしている。ただ、あちこちの大学で入試委員長を務めた経験からすると、大学の先生方の負担がいかに大変かが分かる。何千人もの答案を同じレベルで採点できるだろうかと懸念している。問題形式の提言ばかりで、そこへの言及が一切ない。

 

柳沢 我々も記述式は出すが、それはどういう潜在能力を持っているかを、子どもの中から見いだすため。つまり、我々が出題して、我々が採点するから意味がある。ところが、センターのように直接教えない人たちが問題を作って、それを採点する方法では、今まで1種類だった解答が5種類、6種類に増えるだけだ。

 

鵜崎 記述式は、問題のやり取りとして一つのメッセージになる。中学入試では、学校は受験生に対して、こういうことを書いてほしいと出題する。そして受験生が学校に対して解答というメッセージを送る。そのやり取りがあって初めて記述の部分がいきてくる。

 

田邉 うちの算数・数学の出題は解答用紙に「考え方を書きなさい」という言葉がつく。それは、考え方が多様であることが大切だという受験生へのメッセージを意味している。

 

◆大学入学後に課題

――経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)や国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)で、日本は他の先進国に比べて上位層が少なかった。入試をクリアすることばかり考えているからではないか。

 

鵜崎創(うざき・はじめ) 女子学院中学校・高等学校院長。国際基督教大学教養学部理学科卒。旭化成工業に勤務後、テネシー明治学院高等部を経て、恵泉女学園中学・高等学校にて理科教諭。2012年より同校副校長。16年より現職。52歳。

田邉 日本は、この大学に入りたいという意欲はあっても、入学後に勉強する意欲がない学生が多い。どうやったら生徒に意欲を伝えられるか、いかにして大学につなげていくのかが大切だと思う。そのために医学の手術の現場や法廷に連れていくなどしている。「あっ、これは面白いな」ということを6年間の在学中に見いだせればいい。

 

柳沢 各生徒の得意分野、とがったところを尊重する雰囲気があると、上位層が厚くなる。入学して3か月の間に、生徒一人ひとりの居場所を作る。それは学校に来て楽しいと感じられる教室や部活だ。先輩、あるいは同級生との交流からいろいろなものを学んでいき、自分のロールモデルも見えてくる。やる気も満々になる。こうなればおのずと際立った才能が開花する。

 

鵜崎 授業では以前からアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)を盛んに行っている。他との比較ではなく、本人がどれだけ伸びているかを注視する教え方をしているので、成績はその目安となるが、順位は出さない。生徒たちは授業の中で自分の役割を一つずつつかんでいく。クラブ活動をはじめ学年に応じて、学校生活全般でいろいろなところに役割なり、居場所なりを見いだしている。

 

――AI(人工知能)が進化するなかで、人間が優位な能力という面から読解力が改めて注目されている。

 

司会 森上展安(もりがみ・のぶやす)

田邉 うちではタブレットやパソコンなどで論文検索をし、大学レベルの論文を読んだり、それをまとめてプレゼンテーションしたりする授業をしている。読解力が落ちているとは全然感じていない。

 

柳沢 まとまった文章を書くには論理の構成が必要で、それがないと自分のアイデア、考え方を伝えることができない。ただ、長い文章を書かせるときにティーチング・アシスタントやスタッフがいないと添削が進まない。大学の授業でも同じで、人件費がない。

 

鵜崎 大量の情報に接して、その中から自分に必要なものを吟味して抜き出す。それを鍛える場面がなかなか設定しづらい。時間の制約もあるし、学校教育の中では質が重んじられ、量が疎んじられる傾向もあるのではないか。

 

◆私立一貫校の役割

――公立の一貫校が増えているが、私立の一貫校に期待される役割は。

 

田邉裕(たなべ・ひろし) 広尾学園中学校・高等学校校長。東京大学教養学部卒。理学博士。パリ国際大学都市日本館長、パリ第七大学、東京大学、慶応義塾大学、帝京大学で教授を歴任。東京大学名誉教授。2013年より現職。80歳。

柳沢 中高一貫校は教育の本筋だ。その年代を一つの場所で、友人関係の中でもまれることが、成長にとって一番役に立つ。先生も育つ。中1から高3までの6年間教えると、子どもの変化を毎日目の当たりにする。公立は異動もあるので、それだけの長期間、先生が見ていられるかどうか。

 

鵜崎 女子学院は長い歴史の中でずっと中高一貫でやってきた。学力面で育てることに加え、その根本には心の教育を何より重んじる理念がある。中学・高校の6年間が、最も心を育てる上で大切な時期だという考え方が、私立の中高一貫校が育ってきた礎にある。公立の中高一貫校が、学力的に鍛える時期をそこに据えているのだとすれば、明らかに私学とは違う。

 

田邉 学力だけでなく生活指導の面でも、精神的な成長を先生方が見ており、その変化の大きさに本当にびっくりする。生活指導がうまくいくのも、中高一貫校のいい点として挙げられる。うちは最初に合宿をやって、自律と共生という校訓をたたき込む。これは非常に効果がある。公立中学が校訓を持つことはほとんど考えられない。今、特別の教科となる道徳のことがよく言われるが、そんなのは時間を設けなくてもずっとやっているという感覚を持っている。

 

◆記述式 新たな一歩 入試改革

 改革の狙いについて、文科省高大接続改革チームメンバーの荒瀬克己・大谷大学教授に聞いた。


 

荒瀬克己・大谷大学教授

 大学入試ばかりが注目されているが、高校教育、大学教育も合わせて変えるのが、高大接続改革だ。高校教育を改革するには、小中学校の教育も変えなければならない。

 社会が大きく変動するなか、自ら問いを立て、他者と協働し、問題を解決する力を持つ生徒を育てなければならない。大学入試に通るだけでなく、社会に出てから生きていく力が求められているのだ。

 そうした資質・能力を測るにはどうすればよいか。現在のセンター試験でも工夫はされているが、それをさらに進めるため、記述式問題を導入することにした。

 「あんな少ない文字数で意味があるのか」との批判があることは承知している。ただ、小さくても新たな一歩を踏み出す改革だと考えている。

 大学進学者に限らず、高校生の基礎学力を測る「高等学校基礎学力テスト」(仮称)を盛り込んだのも、今回の改革の大きな特徴だ。

 

◆3月26日 進学相談会

 読売新聞東京本社は、受験を控える小中学生や保護者向けに中学・高校進学相談会「よみうりGENKIフェスタ2017」(特別協賛・SAPIX、協賛・家庭教師のトライ)を開催する。

 首都圏を中心とした約200の中学・高校が参加し、個別の進学相談に応じる。将棋棋士の羽生善治三冠とSAPIX YOZEMI GROUP共同代表の高宮敏郎氏による対談や、開成中学校・高等学校校長の柳沢幸雄氏による講演、2017年度の入試分析をはじめとするセミナーなど多彩なイベントを行う。詳細は>>特設サイトで。

【日時】3月26日(日)午前10時~午後4時(入場は午後3時30分まで)

【場所】東京国際フォーラム ホールE/G701 ※昨年と会場が異なります

【お問い合わせ】よみうりGENKIフェスタ事務局(電話03・3360・6008=平日午前10時~午後6時)。

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