海外で学ぶ・リレーエッセー[52]米グリネル・カレッジ 多様性と社会正義と共に生活して

寮の仲間と夕食を作る倉田さん(中央)=本人提供

私立渋谷教育学園渋谷高校(東京都)卒、グリネル・カレッジ(米国)3年(執筆時)

倉田 芽衣 さん

Kurata May

 

 

 

 私はアイオワ州のグリネル・カレッジでジェンダー・女性・セクシュアリティ学を専攻する3年生だ。グリネルへの進学を決めたのは、グリネルが小規模のリベラルアーツ・カレッジであり、ジェンダー学が専攻としてあり、(初年度のセミナーのみが全学生に義務付けられていてその他の必須授業がない)オープン・カリキュラムであり、大学からの奨学金が私の必要な額を100%かなえてくれたから。そして、才能があふれ、社会正義志向が強くて、気遣いのある、様々なバックグラウンドの学生や教授陣がいると聞いていたからだ。

 

 とりわけ最後の理由は入学して何度も何度も身をもって経験することができた。最初の学期、今では親友となったフロリダ州出身のルームメイトと一緒に毎日長時間過ごした。次期ドラーグ・クイーン(女装家)を選出するコンペ式のリアリティー番組を見たり、毎年サンクスギビング(感謝祭)にルームメイトの叔父叔母(叔母と叔母の結婚しているレズビアンカップルと叔父と叔父の結婚しているゲイカップル)をネブラスカ州リンカーンまで訪ねたり、深夜までビーガン(完全菜食の)スナックを食べて過ごしたり――。ビーガンでヨガ・インストラクターをしているシカゴ出身の、同じ階の1学年上の寮生とも親友になった。

 

 日常の会話は奇妙な掛け声だけだったり、ほぼ沈黙の中それぞれ課題をするだけという日もあれば、白人の特権やビーガミズム(完全菜食主義)の問題からヘテロでシスジェンダーな(トランスジェンダーではない)男女の恋愛関係における感情労働問題まで、多岐にわたっている。

 

 それに加え一年の秋学期には私は、極めて優秀で、やさしくて、タフで精力的な4人の教授の講義を受けた。一人はスペイン出身の政治学の教授で、さまざまな形態のナショナリズムについて学ぶ授業で、(スペイン語のこんにちは、の意味の)「hola(オラ)」を「ホラ」と間違えて発音する彼女の息子が彼女と違ってカタルーニャ人でもスペイン人でもないことを冗談交じりに感嘆していた。エジプトから来たアラビア語の教授はおいしい完全菜食のエジプト料理をふるまってくれ、エジプトではしないのに、米国ではヘッドスカーフを着用する個人的だが極めて政治的な理由を教えてくれた。カナダ出身のジェンダー・女性・セクシュアリティ学の教授は、「批判理論」の精読を通して難解な文章を読み解く喜びを教えてくれた。哲学の教授は(ドイツ出身のユダヤ人哲学者)ハンナ・アーレントのかつての教え子で、「現代性、道徳性とジェノサイド」を一年生セミナーで教えてくれた。そして、今後の講義を履修するうえで、前述したような素晴らしい(女性であり、アメリカ国籍でなく私のロールモデルになりうるような)教授たちを紹介してくれた。

 

 自分が会ったすべての人たちからこんなにも多くのことを学べるとは思っていなかったが、実際にはそうした人間関係から一番多くを学んだ。そして今、リフレッシュのためにとった1年近くの休学後から復学し、久しぶりの大学生活にワクワクしている。

 

 大学を卒業したらジェンダー・女性・セクシュアリティ学で学んだ知識を生かして、日本の労働・社会福祉法の法律家である社会福祉労務士の資格取得を計画している。そして様々な企業に(もし出来れば、近い将来、政府機関などでも)人事コンサルティングをして、女性、お父さんお母さん、LGBTの人々、外国人労働者、精神疾患のある人々の労働環境を改善したいと思っている。

(会報編集部抄訳 The Japan News 2019年1月10日)

英語の原文は>>The Japan Newsのウェブサイトでお読みいただけます。

 

グリネル・カレッジ

1846年創立のアイオワ州グリネルにある私立の名門リベラルアーツ・カレッジ。学生数は約1700人の小規模大学で、うち留学生は2割弱。

 

 

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海外留学を目指す高校生に進学支援を行っているNPO法人「留学フェローシップ」のメンバーが、海外のキャンパスライフをリレー連載します。留学フェローシップの詳細は>>ウェブサイトへ。

(2019年4月26日 12:30)
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