「投票に失敗はない」  高校生ら活発な議論 ~主権者教育セミナー

高校生らも交えて行われたパネルディスカッション

 「18歳選挙権」が実現するのを前に教育現場で求められる取り組みを考える「もうすぐ参院選!18歳の1票 主権者教育セミナー」(読売新聞社主催、文部科学省後援)が4日、東京・大手町の読売新聞東京本社で開かれ、高校生や教員ら約100人が参加した。選挙実務に詳しい市町村職員中央研修所客員教授の小島勇人さん(64)らの講演や、若者と政治をつなぐ活動を進めるNPO法人「ユースクリエイト」代表の原田謙介さん(30)が、若者の政治意識について高校生や大学生と意見を交わすパネルディスカッションなどが行われた。

 セミナーは、昨年11月、今年1月にも実施、2月に主権者教育をテーマに開かれた「読売NIEセミナー」を合わせ、のべ約380人が参加した。


 

パネルディスカッション

◆投票に失敗はない 高校生ら活発議論

 パネルディスカッションでは、若者の政治意識などについて議論した。

 読売新聞の世論調査では、「選挙の投票には必ず行くべきだ」と答えた18、19歳は47%にとどまった。東京都立三田高校3年の相馬達樹さん(18)は「投票は個人の自由に任せるべきだ。投票しないのも『選挙の結果にはすべて賛成する』という意思表示になる」と発言。一方、私立桐朋女子高校3年の畠山佳奈さん(17)は「投票は権利だけど、使わないと、いつか権利を失うことになりかねない」と述べた。

 家族と政治の話をするかについては、私立開智高校2年の渡辺笙成(しょうせい)さん(16)が「話をしようとしても、意見が食い違っていると、あっという間に話が終わってしまう」と実情を語った。

 若い有権者に、選挙に関心をもってもらうアイデアも活発に交わされた。

 投票率向上に取り組む学生団体「ivote」に所属している一橋大学社会学部1年、藤田裕樹さん(18)は「出身地の松山市では選挙管理委員会が大学生のサークルなどを選挙啓発の団体として認定し、試合などの機会に他校の学生にも呼びかけてもらっている。『みんなで一緒に投票に行こう』という雰囲気づくりが大事」と強調した。東京都立高島高校3年の井上堅太さん(18)は「候補者は公約のメリットばかり強調するのではなく、デメリットも説明してほしい」と注文を付けた。

 「ユースクリエイト」学生スタッフでもある中央大学理工学部3年の福田るみさん(20)は、「若い人は、投票で『良い選択をしなければ』という思いが強すぎる。自分で考えて出した選択で良いという楽な気持ちで投票するべきだと思う」と発言。原田さんは「『投票に失敗はない』と思う。次の選挙の時に前の投票行動を振り返ってまた考えればいい」とアドバイスした。

 

講演

◆ビラや公報 見比べて

  市町村職員中央研修所 小島勇人客員教授

 有権者になると、公示・告示日から選挙運動ができる。選挙運動では、ウェブサイトの利用も可能だ。18歳以上の有権者なら、ツイッターやLINEなどで友人に「この人に投票して」と呼びかけることもできる。しかし、電子メールは候補者や政党以外選挙運動に使えないので、気を付けてほしい。

 模擬選挙は、参院選の実際の立候補者を対象にした方が主権者教育の趣旨に沿うと思う。各政党のマニフェスト、政策ビラ、選挙公報などをそろえて、見比べて、判断できるようにしたい。ただ、模擬選挙の結果は、実際の選挙の当選者が確定するまで、公表を禁止されている。

 各学校に公選法の手引書を用意して、疑問点が生じた場合、選挙管理委員会などに問い合わせるようにした方が良い。

 

トークセッション

◆18歳らしい視点を大切に

トークセッションで意見交換する原田さん(右)

 原田さんと本紙の渡辺嘉久編集委員によるトークセッションも行われ、政治に対する考えなどについて意見を交わした。

 原田さんは「出前授業では、年金のような話ではなく、子育てなど、近い将来の話をするようにしている」と、若者の関心を引く工夫を紹介。また、渡辺編集委員が「政治を知らない自分が1票を投じて、世の中が間違った方向に行くのは嫌だ、という意見をよく聞く」と発言すると、原田さんは「知らなくても、考えることはできる。18歳には18歳の視点が求められている」と応じ、投票の大切さを訴えた。

(6月9日読売新聞に掲載)


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(2016年6月10日 10:02)
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