「世論調査 未来へのヒント」 月刊ワークシート vol.9

12月5日読売新聞朝刊掲載「世論調査 未来へのヒント」の解説ページです。「新聞@スクール 月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(3)世論調査の結果はどのように役立てられていますか。


 世論調査は、くじ引きと同じような「ランダムサンプリング(無作為抽出)」と呼ばれる方法で、有権者1億人から対象者を選ぶそうですね。統計学の世界では、ランダムに選んだ1000人に聞けば、1億人の意見がおおよそ分かるとされていますね。

 

 

今まで、「世論調査」ということばを何回も聞いていたけれど、今回の記事を読んで、新聞社の世論調査っていうものがわかったような気がする。じゅんこ先生の所には、「世論調査のご協力お願いします」の電話がかかってきたことがありますか?

 

残念ながら、まだ、我が家には世論調査の電話はかかってきていません。もっとも、留守にしていて、電話がつながらなかったのかもしれないけれど。

 

記事の中に、「世論調査は、政府や国会議員など政治に携わる人たちに、国民の意見を届けることができる」とあります。わかりやすい一つの例は、2020東京五輪・パラリンピックに向けて、「サマータイム」導入の提案に対する国民の意見の反映かな。

 

DETA欄の読売新聞社の世論調査結果の円グラフを見ると、導入反対が50%、賛成が40%となっています。他の報道機関の調査結果もほぼ同じだったと記事にあります。そこで、自民党の国会議員たちは、サマータイム導入の法律を作ることをあきらめた、のですね。

 

だから、世論調査は日本の未来を考えるヒントにもなる、ということなんですね。

 

アットス君は、全国の18歳以上の有権者3000人を対象に郵送方式で行った「読書に関する全国世論調査」を知っている?

 

「読書月一冊以上49%」という見出しの記事は読んだことがあるけれど。

 

その記事の元になった調査なんですよ。毎年、秋の読書週間の前に読売新聞社が行っている全国世論調査です。今年は、9月4日~10月11日に実施。2170人が回答しました。(回答率72%)

 

へぇ、そういう調査もあったんですね。国民の「読書」に関することが見える調査なんだ。

 

毎年実施しているので、「読書」の傾向がわかるのですね。昨年調査では、月一冊以上読書をしたのは、52%で、今年はやや下がったことがわかりました。なんと一冊も本を読まなかった人は50%。昨年は47%で、こちらは増えているのです。全国の半分の人が、月に一冊も本を読んでいないとはね・・・・。

 

本を読まなかった理由も聞いているんですか?

 

はい、聞いていますよ。最も多いのが「時間がなかったから」(50%)、続いて「本を読まなくても困らないから」(32%)でした。

 

他には、どんなことを聞いているの。

 

この1か月に買った本の種類、本を読む理由、本を買う場所、好きな作家、電子書籍の利用、ブックカバーを使う理由などです。

 

こうした質問の回答から、例えば、本屋さんや出版社が傾向をつかんで、たくさんの本が売れるような工夫をするのですね。世論調査は大事なデータになっているんですね。

 

その他にもいろいろなテーマを決めて世論調査が行われています。いろんな分野での人々の考えや行動の傾向がわかると面白いですよ。これからは、世の中の人々の様子を知りつつ、あらためて『自分はどうなのかな』と考えることが大事だと思っています。

 

 


【質問】(4)世論調査はアンケート調査の一種です。学校で行いたいアンケート調査を考えましょう。


 

今日の月刊ワークシートの紙面には、インタビューの記事がありますが、その中で社会調査協会理事長の盛山和夫さんが「世論調査の役割を実感するには、自分でアンケートを作り、調べる体験が一番」と話しています。

 

なるほど。よく知るためには、まずは体験ということですね。

 

アットス君は、学校で、どんなことを調べてみたい?

 

学校の図書館を居心地のよい、使いやすい場所にしたいといつも思っているんだけれど、本の数も少ないし、開館時間も限られているし、図書館はあまり使われていない印象をもっています。このままだとステキな図書館にならないから、「学校の読書に関する調査」なんかやってみたい。 

それから、「食品ロス」という言葉をよく聞くけれど、学校の給食は残す人がけっこういるんですよ。おいしいのになぁ・・・・。どうしたら、学校での「食品ロス」を防げるのか。これもアンケートをとってみるといいかもしれない。

 

さっそく行動、なかなか面白いアイディアですね。さすが、アットス君。

そこで、よいアンケートができるようにアドバイス。まずは、どんな目的でアンケートをとるのかを考えよう。そのために知りたいことは何なのかをしっかりと決めて、アンケート調査の項目を考えることが必要ですよ。

 

それから、質問の仕方も考えなくてはいけないのですよね。聞き方によって回答が違ってくるんだよって、世論調査部の記者さんから教えてもらいました。

 

そうなのですよ。よく覚えていたね。ちょっと政治の話になりますが、例えば、内閣の支持率や政策についての世論調査で、新聞社によって数字が異なってくるのは、質問の問いかけ方が違うのですね。機会があったら、複数の新聞社の世論調査の質問項目と結果を比べてみるといいでしょう。

 

【参考記事】

■18歳成人 反対56%(2018年4月25日 読売・朝刊1面/関連33面)

■サマータイム「反対」50%(2018年8月27日 読売・朝刊2面)

■内閣支持 横ばい50%(2018年9月24日 読売・朝刊1面/関連3面・2面・4面)

■信頼するメディア「新聞」64% (2018年10月14日 読売・朝刊1面/関連11面)

■読書月1冊以上49%(2018年10月27日 読売・朝刊2面/関連17面)

■「在留資格拡大」賛成51%(2018年10月29日 読売・朝刊1面/関連2面・8面)

■大阪万博「賛成」66%(2018年11月13日 読売大阪・朝刊1面/関連14面・38面)

■消費税対策 キャッシュレス時の還元「反対」62%(2018年11月26日 読売・朝刊2面)

■『平成時代』象徴する国内の出来事「東日本大震災」最多 イメージ「不安定」53%(2018年11月27日 読売・朝刊1面/関連14面・15面)

 

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(2018年12月 4日 16:40)
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