就活ON!〈1.記者コラム〉正解はない

1月22日の就活セミナーで自分の自己分析を披露。結構恥ずかしい

vol.1 〈記者コラム〉


正解はない


 

 エントリーシートの書き方、面接の受け答え...。「この場合の正解はなんですか?」。就職活動中の大学生に聞かれることがある。大学受験の記述式問題のような「模範解答」があると思っているようだ。

 

 私の就活は約20年前にさかのぼる。ある新聞社の1次面接で、当時、無駄な公共事業の象徴とされていた長崎県の諫早(いさはや)湾干拓事業が話題になった。いったん閉めた堤防の排水門を「開けるか」「開けないか」。「君が現場責任者ならどうする?」と聞かれた。私は、閉門したままでは環境破壊が進み、取り返しがつかないことになるという自分の考えを述べ、「開けます」と胸を張った。自分でも上手に答えたと思った。すると、「国の命令に反しても?」と突っ込まれた。動揺したが「それでも開けます」と言い切った。

 

 しかし、面接中ずっと胸の中がモヤモヤした。面接の最後に「何か言いたいことはありますか」と聞かれ、思わずしゃべり出した。「先ほどの質問ですが、やっぱり『開けない』と思います。私に子どもや家族がいたら、やっぱり、なんというか、仕事をクビになるわけにはいかないし...」。途中でしどろもどろになった。面接官は「君の保身について、聞いたんじゃないんだよ」と言って吹き出した。最後の最後で前言をひるがえし、グダグダの言い訳。落ちたと確信した。

 

 後日、人事部から面接を通過したと連絡があった。信じられなかった。今振り返ると、誰にでも言える建前論ではなく、格好悪くとも必死に自分の考えを述べようとした姿が面接官の印象に残ったのだと思う(たぶん)。この面接に味をしめ、次からは、思ったことはその場でしゃべるようになった。結局、この新聞社は最終面接で落ちてしまい、ほかの会社の面接でも失言はたくさんしてしまった。でも、これが自分のスタイルで、そんな自分を良いと思ってくれる面接官がいるはずだ、と思えるようになった。

 

 100人いれば100通りの答えがあるのが就活。どうすれば自分自身を相手に知ってもらえるか。どうすれば相手を知ることが出来るのか。就活ON!が、それぞれの答えを出す一助になれば。そう願っている。

(就活ON!担当  恒川良輔)


>>vol.2

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(2017年1月25日 16:00)
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