インターハイ

読売新聞社は2013年から全国高等学校総合体育大会(インターハイ)を全国高等学校体育連盟とともに共催しています。昨年から「学校新聞部インターハイ新聞コンクール」を始めました。インターハイ予選や本選での、仲間の活躍や歓喜の表情、悔し涙などを同じ高校生の目線でつづった「インターハイ新聞」が全国各地から集まり、文化系部活動に参加する生徒とも盛り上げに一役買っています。
第3回インターハイ新聞コンクール 最優秀賞に神戸鈴蘭台高校(2016年11月 5日)

 全国高校総体(インターハイ)や予選などで活躍・奮闘した仲間たちを取り上げた学校新聞を顕彰する「第3回 高校新聞部 インターハイ新聞コンクール」(主催・読売新聞社、後援・全国高等学校体育連盟、全国高等学校文化連盟)で、兵庫県立神戸鈴蘭台高校編集部が制作した「鈴高新聞」と速報版の「鈴高miniプレス」が最優秀賞(読売新聞社賞)に選ばれました。

 年間117号発行した「miniプレス」で全部活動の部員たちを紹介。全校生徒の顔が見える新聞作りを続け、インターハイ本戦に出場する部活動がなくても学校全体に活気をもたらしていることが高く評価されました。

 このほか、記事や写真、企画などで優れた新聞を作った5校に優秀賞、今後さらに充実した紙面が期待される11校には奨励賞が贈られます。

 今年は昨年と同数の33校から応募がありました。最優秀賞以外の受賞校は以下の通りです。

 

◆優秀賞・ポカリスエット賞(ルポルタージュ) 長崎県立長崎工業高校

優秀賞(記事) 崇徳高校(広島県)

優秀賞(写真) 鳥取城北高校(鳥取県)

優秀賞(企画) 弘学館高校(佐賀県)

優秀賞(レイアウト) 長崎県立西陵高校

奨励賞 (11校) 福島県立郡山東高校/群馬県立高崎高校/群馬県立富岡高校/埼玉県立松山高校/向上高校(神奈川県)/石川県立金沢泉丘高校/福井県立金津高校/静岡県立韮山高校/滋賀県立彦根東高校/島根県立安来高校/長崎県立長崎南高校

 

【審査員】

審査員長=中村明・読売新聞東京本社紙面審査委員長

松井孝二・全国高等学校新聞教育研究会会長

中根淳一・神奈川県立横須賀高校教諭

秋山哲也・読売新聞東京本社教育ネットワーク事務局専門委員(前写真部長)

 

≪全体講評≫

 最優秀賞の兵庫県立神戸鈴蘭台高校をはじめ、今回も応募作品は力作ぞろいだった。それぞれの紙面からは、インターハイにのぞむ部員たちの弾む気持ちや、チームをサポートする人たちの思いが伝わってきた。

 記事の書き方、見出し、レイアウト、写真などの基本を押さえたうえで、独自の切り口で紙面づくりをしているか。審査の重要なキーワードは新聞の「個性」だ。

 入賞作には「個性派」が目立った。選手たちに深く取材し、大会に向けて学校全体を盛り上げようという活気あふれる紙面、読者をページの中に誘い込む大胆なレイアウト、動きのある一瞬を斬新な構図でとらえた写真、速報版を精力的に発行するフットワーク......いずれも、読み手に強いメッセージを届けた。

 先輩たちがつくった紙面パターンを続けている新聞もみられる。「伝統」を重んじるのはもちろん大切だ。一方で、紙面を進化させていくことも意識したい。小さな囲みの新企画を始めるだけでも、ページの表情は随分と変わってくる。

 2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、「スポーツの力」が改めて注目されている。インターハイというスポーツイベントに挑む熱い現場を追い続けていきたい。

(審査員長 中村明・読売新聞東京本社紙面審査委員長)

 

 以下に各賞の講評と紙面を紹介しています。紙面イメージをクリックすると、応募紙面の一部を読むことができます。

 


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「鈴高miniプレス」を読む(PDF)

■最優秀賞・読売新聞社賞

兵庫県立神戸鈴蘭台高校 

「鈴高新聞」第158、159、160号、「鈴高miniプレス」第2419~2536号のうち40点(号外1点含む)

 本紙の「鈴高新聞」は年3回の発行なので、部活動の記録性を重視した新聞となっている。それに比べて、速報版の「鈴高miniプレス」は年間117回も発行していることもあり、県高総体に臨む各部活動の熱意が非常に伝わってくる。

 新キャプテンシリーズは本人だけでなく、部員やマネージャー、前部長などにもインタビューし、キャプテンをクローズアップ。部活動への意識が盛り上がる工夫をしている。顧問の弁や今後の試合予定を入れるなど心憎い配慮も見られる。

 総体メンバーシリーズでは、3年生部員や1、2年生登録メンバー全員の声を載せ、インターハイへの意気込みにあふれている。MDP(My Dependable Person)コーナーで頼りになる人を紹介している。水泳部の号では、「声だし」に定評がある生徒が登場。多角的な角度から選手をひろっている。顔写真付きで顧問からのエールや他の部活動からのエールを載せるなど企画がとても面白い。

 全部活動の全生徒を紹介し、全校生徒の顔が見える新聞作りがなされていることがスゴイ。インターハイ本戦に出場する部活動がなくても学校全体に活気をもたらしている。学校を活性化するための使命を学校新聞が十二分に果たしている好例だ。今後、提言性を増すともっと素晴らしくなるだろう。

(中根淳一・神奈川県立横須賀高等学校教諭)

 


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「工業っ子」を読む(PDF)

◆優秀賞・ポカリスエット賞(ルポルタージュ)

長崎県立長崎工業高校

「工業っ子」No.132、133、136 

 県高総体への意気込みや目標を、運動部すべてに事前にインタビューしている姿勢がとても光っている。さらに、出場した試合の結果を部長、部員、顧問のインタビューを交えて丹念に取材して記事にまとめている。「高総体この一枚」のコーナーからは、新聞部員が縦横無尽にカメラを片手に試合会場を走り回っている姿が伝わってきた。そうした中で、他校の応援団を見て応援部の設立を提言したり、自校に女子バスケットボール部がないので審判を目指した生徒にスポットを当てたりするなど取材の視点がとてもよい。

 圧巻は、「新聞部員海に出る」と称して、県高総体のヨット競技を同行取材したルポ記事だ。風雨が強い中、ライフジャケットを着てカメラを濡らしながら悪戦苦闘した様子が迫ってくる。

 インターハイ本戦に出場したフェンシング、ソフトテニス、ヨットの記事もしっかりとフォローアップしている。本戦の結果はどうであれ、継続性を生かしている点が素晴らしい。インターハイ本戦に出場した学校は、このように必ずフォローアップ記事を応募してほしい。

 「です・ます」調で記事が書かれているが、スポーツ記事はスピード感を出したいので「である」調に変えてみたらどうだろうか。

(中根淳一・神奈川県立横須賀高等学校教諭)

 


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「崇徳学園新聞」を読む(PDF)

◆優秀賞(記事)

崇徳高校(広島県)

「崇徳学園新聞」221号、「崇徳学園新聞」速報版129~162号のうち18点

 6~9月までの「総体期間」に計19回(本紙1回、速報版18回)の「インターハイ新聞」を発行し、県大会や全国大会に出場した各部の活躍をタイムリーに伝えた。どの記事も、試合の展開や選手の思い、心の動きなどをよく取材して聞き出していて、記事に臨場感がある。

 また、3年ぶりの「全国制覇」を逃した柔道部、準決勝敗退のサッカー部、バドミントン部の記事では、敗戦についての部員たちの悔しさを伝えるともに、次の大会に焦点を当て、部員たちの不屈の精神を引き出している点が良い。これらは生徒全体に勇気を与える記事である。

 見出しも、「近くて遠かった頂点」(柔道部・158号)、「準決勝でまさかの敗退」(バドミントン部・147号)、「インターハイの切符取れず」(サッカー部・148号)など、大きな横見出しを使って、読者を引きつけるインパクトのある紙面を作っている。

 部員に焦点を当てて、いろいろな形で取り上げているのも良い。「ボクシングベスト32」の梶原選手に取材した「拳に込めた優勝への思い、実る」では、同選手の競技に対する真剣な姿勢が伝わってくる。「先輩から後輩へ」などの囲み記事もあり、紙面作りの面でも参考になる新聞だ。ただ、本紙221号4面の「大会成績」はベタで成績が羅列されており、各部名をゴシック体にしたり、1行の小見出しを付けたりするなど一工夫ほしい。

(松井孝二・全国高等学校新聞教育研究会会長)

 


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「城北新聞」を読む(PDF)

◆優秀賞(写真)

鳥取城北高等学校

「城北新聞」第69、70号、「城北かわら版」No.116

 全国大会に5競技も出場した城北高校とあって、紙面からは新聞部の意気込みが随所に感じられた。

 写真も1枚1枚丹念に取材しており技術も高い。ここぞという瞬間をよく切り取っており、キャプション(写真説明)もしっかりしている。選手の名前をしっかり入れているので、地域の方々が読まれても共感を呼ぶことだろう。高校生らしいコラム「群青」もとてもよく書けている。

 IH(インターハイ)特集として編集された第70号では、中面見開きで相撲の団体優勝を伝えた。「気持ちでつかんだ団体優勝」の見出しがやや地味だが、優勝が決まった歓喜の選手らをとらえた写真は圧巻だ。しかし、合計12枚の写真掲載はやや多い印象を受ける。いい写真を生かすには、できる限り少ない枚数の方がよい。取捨選択をする編集も頭に入れておこう。写真をしっかり押さえようと取材現場に身を置くことで、足でかせいだ裏方取材も充実した。

(秋山哲也・教育ネットワーク事務局専門委員・前写真部長)

 


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「弘学館新聞」を読む(PDF)

◆優秀賞(企画)

弘学館高等学校(佐賀県)

「弘学館新聞」通巻85号

 「県総体」を、A3判5面を使って伝えている。紙面では、試合経過に加えて、選手、顧問の試合中の不安、喜びなど揺れ動く気持ちをうまく捉えている。「選手が頑張る姿を伝えたい」という記者の気持ちがあふれていて、「インターハイ新聞はこう作りたい」と思わせる。

 廃部直前の「柔道部」を取り上げた「さらば柔道部」(5面)は、試合結果の「最後の戦い」(1面)に加えて、顧問の「残念な気持ち」を取材して、先生の気持ちが伝わる大きな写真を併せて載せている。すごいのは、「どうなる日本の国技?」で全国の高校の柔道部や相撲部の現状を取り上げ、「国技は危機的状況」と、同校の現状から「国技全体への問題提起」をしていることだ。社会問題への切り口として、参考にしたい視点であり、素晴らしい記事だ。

 競技だけではなく、違った角度からインターハイを取り上げた「入場行進3年ぶり優秀賞」(2面)や「盗撮おじさん逮捕・・・」(4面)など、ウイットの効いた記事もあり、紙面に彩りを添えている。

 技術的には工夫したい点もある。今後への課題をいくつか上げておきたい。まず、写真にはキャプションを付けたい。記事には「です・ます調」と「である・だ調」が混在しているが、新聞の特性上、「である・だ調」に統一するとよい。横見出し下の段罫や囲み記事内の段罫も取るとよい。などである。今後のさらなる成長がとても楽しみな新聞である。

(松井孝二・全国高等学校新聞教育研究会会長)

 


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「西陵速報」を読む(PDF)

◆優秀賞(レイアウト)

長崎県立西陵高等学校

「西陵速報」第32、33、34号

 号外「西陵速報」の最大の特徴はメリハリを利かせた紙面だ。各号とも、見出し、記事、写真がバランスよく配されている。勢いのあるレイアウトがインターハイの熱気をストレートに伝えた。紙面を横向きに使ったのも新鮮な印象を与えた。

 見出しは、メッセージを簡潔な言葉に凝縮させようという工夫の跡がうかがわれる。速報32号、34号は、コンパクトな前文をつけたことによって読みやすい紙面になった。

 写真の扱いのレベルも高い。33号の剣道のメイン写真は、動きのある一瞬を切り取った構図で紙面効果をもたらした。剣道部員の紹介コーナーは写真のあしらい方が洗練されている。

 囲みの使い方もうまい。32号の小ぶりの囲み「ちょっと裏話」は紙面の中でアクセントの役割を果たした。記事もレイアウトに負けていない。例えば、33号の剣道の原稿は、緊迫した試合のディテールをしっかり押さえた書きぶりで、紙面全体を引き締めた。

(中村明・読売新聞東京本社紙面審査委員長)

 

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