第4回 インターハイ新聞コンクール 最優秀賞に鳥取城北高校

最優秀賞を受賞して喜ぶ鳥取城北高校の新聞部員たち

 全国高校総体(インターハイ)や予選などで活躍・奮闘した仲間たちを取り上げた学校新聞を顕彰する「第4回高校新聞部インターハイ新聞コンクール」(主催・読売新聞社、後援・全国高等学校体育連盟、全国高等学校文化連盟)で、鳥取県の鳥取城北高校新聞部が制作した「城北新聞」と速報版の「城北かわら版」が最優秀賞(読売新聞社賞)に選ばれました。

 試合結果にとどまらず、けがやプレッシャーを乗り越えて奮闘した選手一人ひとりの人物像に迫った多角的な取材と構成が、高く評価されました。

 このほか、記事や写真、企画などで優れた新聞を作った5校に優秀賞、今後さらに充実した紙面が期待される12校には奨励賞が贈られます。

 今年は昨年より9校多い42校から応募がありました。最優秀賞以外の受賞校は以下の通りです。

 

◆優秀賞・ポカリスエット賞(ルポルタージュ) 長崎県立西陵高校

◆優秀賞(記事) 滋賀県立彦根東高校

◆優秀賞(写真) 崇徳高校(広島県)

◆優秀賞(企画) 長崎県立長崎工業高校

◆優秀賞(レイアウト) 石川県立金沢桜丘高校

◆奨励賞(12校) 古川学園高校(宮城県)/福島県立郡山東高校/埼玉県立松山高校/富山県立富山商業高校/静岡県立韮山高校/滋賀県立虎姫高校/三重県立白子高校/兵庫県立神戸鈴蘭台高校/島根県立安来高校/大分県立玖珠美山高校/弘学館高校(佐賀県)/長崎県立長崎南高校

 

【審査員】

審査員長=中村明・読売新聞東京本社紙面審査委員長

牧野修三・全国高等学校新聞教育研究会副会長

中根淳一・神奈川県立大楠高校教諭

秋山哲也・読売新聞東京本社教育ネットワーク事務局専門委員(元写真部長)

 

<全体講評>

 応募作品は今年も力作が多く、入賞作を絞り込むのに、審査員はかなり頭を悩ませた。インターハイを照準に練習を積み重ねてきた選手たちの息づかいや、チームを支える人々の熱い思いがストレートに伝わってくる紙面が目立った。

 最優秀賞の鳥取城北高校もそうだが、入賞校の紙面は、要点を押さえた記事、的確な見出しなど、新聞づくりの基本をふまえたうえで、何らかのプラスアルファの価値を加味している。

 ていねいな取材に裏打ちされたインタビュー、現場で起きたことを深く書き込んだルポ、いきいきとした動きのある瞬間を切り取った写真、大胆なレイアウト、精力的な号外発行......付加価値の内容はさまざまだ。それぞれの新聞部の「顔」や「個性」がうかがえる紙面は読んでいて楽しい。

 新聞によっては、紙面スタイルが固まっていて、ややマンネリ化しているようなケースも見受けられた。従来のパターンにとらわれずに、独自の切り口からのコーナーがあれば、読者に与える印象はかなり変わってくるはずだ。新企画にもぜひ積極的にチャレンジしてほしい。

 インターハイ新聞に限らず、紙面づくりの原点は基本的に同じだ。読者の知りたいことが書いてあるか。記事がわかりやすく書かれているか。読みやすいレイアウトになっているか。そして、ニュースを伝えているかも大切なポイントになってくる。大きな驚きはもちろん、小さな感動もニュースだ。足をどんどん使って、できるだけ多く人に話を聞き、新鮮なニュースを掘り起こしていきたい。

(審査員長 中村明・読売新聞東京本社紙面審査委員長)

 以下に、各賞の講評を掲載します。

 


 

「城北新聞」を読む(PDF)

■最優秀賞・読売新聞社賞

鳥取城北高校(鳥取県)

「城北新聞」第78,79号、「城北かわら版」No.139,140

 

 インターハイに出場する部活動が多く、県予選からインターハイ本戦の結果までしっかりと報道している。試合結果や選手、部長、顧問へのインタビュー、的確な写真など多角的に構成し、生き生きした紙面となっている。

 人物をクローズアップしているところがこころにくい。78号では陸上部を特集している。その中で8名の選手を取り上げている。ケガやプレッシャーを乗り越えて、県大会で優勝や上位入賞した選手の言葉に、さらに上位を目指そうとする意気込みが込められている。インタビューする新聞部員に取材魂を感じることができる。コラム「群青」に「今年も県総体の季節がきた。同時に『学校の応援団』である新聞部はとても忙しくなる」とある。新聞部取材で学校を盛り上げようという機運が伝わってくる。ただ単に、試合結果を報道するだけでなく、「宝石のようにキラリ」と随所に読み応えがある記事が散りばめられている。さらに、掘り下げることによって人物をドラマ仕立てにできるともっと読み応えが出てくるであろう。

 本紙「城北新聞」はA4判4~8ページ、速報「城北かわら版」はB4判2ページの校内印刷 にもかかわらず、取材がよく掘り下げられていることによって充実した紙面となっている。予算をかけずに活動的な新聞を発行している好例である。(中根淳一)

 


 

「西陵高校新聞」を読む(PDF)

◆優秀賞・ポカリスエット賞(ルポルタージュ)

長崎県立西陵高校

「西陵高校新聞」第55号、「西陵速報」第69号

 

「西陵高校新聞」と「西陵速報」は、いずれも、インターハイの魅力を中身の濃い紙面で伝えている。とりわけ、選手たちの人物像や「現場」に迫るルポは読者を記事の中に誘い込む効果を発揮している。

 訴求力があったのは「西陵速報 第69号」のフロントページ「選手に密着」。カヌー部の1人の選手を文字通り「密着」取材した力作だ。

 「『強くなりたい』という高い志」「人一倍の負けず嫌いな性格」がこの選手の成長につながったとする顧問の先生の分析や、ペアを組む選手の談話も織り交ぜ、取材対象の素顔を多面的に描き出している。

 選手の課題の一つである腕力アップのため、お父さんが自宅の庭に作った懸垂器具の記事は、緻密な取材でつかんだ興味深いエピソードだ。

 記者が、練習場まで一緒にランニングを試みるなど、フットワークのいい取材ぶりにも好感が持てる。

 カヌーの平日の練習距離10kmを新聞部員が自転車で実際に走ってみる「試して納得!」もルポの原点である「現場第一主義」を実践した記事といえる。

 「西陵高校新聞」では、開会式で生徒と同じ体操服で行進した教頭先生の「サプライズ」を報じるなど、常に現場をウォッチしようという取材姿勢が感じ取れる。

 対象に深く迫り、目の前で起きていることを伝える――新聞の大切な役割を引き続き意識しながら、紙面をさらに進化させていってほしい。(中村明)

 


 

「彦根東高校新聞」を読む(PDF)

◆優秀賞(記事)

滋賀県立彦根東高校

「彦根東高校新聞」第468号、速報新聞キマグレ第1541,1542,1544,1545,
1546,1547,1548,1549,1552,1553,1576,1689号

 

 レイアウトなど新聞作りの技術面といい、きちんとした取材をふまえた記事内容といい、全体的に大変レベルの高い新聞だ。

 1541~1576号は、高総体というよりも各部活の紹介がメーンのシリーズだが、活動状況だけでなく、部長・部員・顧問の先生など多くの人にインタビューするなど、「濃い」内容になっている。とくに「縁の下の力持ち」と題してマネージャーや会計係などの部員にスポットを当てている囲み記事は注目される。

 そのシリーズ記事で、当然だが、総体でより上に勝ち進むことが各部の目標として掲げられている。しかし、第一関門の県総体の速報が1576号の1枚に結果だけでまとめられてしまっているのはちょっとさびしい。来年に向けての課題としてほしい。また、取材に際しては、各競技についての基本知識や、たとえば陸上の場合だと記録の数値といった具体的なことまで予備知識を持ってインタビューするなどの周到な準備を(彦根東だからこそ)期待したい。

 近畿大会の全体像も今ひとつよくわからないが、インターハイとともに定期テストや夏季休業などもあって新聞作成のみに取り組むのもむずかしいのだろうか。

 そんな中、夏休み明け早々にインターハイに出場し健闘した剣道部の古橋君についての号を出している。これも完成度の高い記事だ。(牧野修三)

 


 

「崇徳学園新聞」を読む(PDF)

◆優秀賞(写真)

崇徳高校(広島県)

「崇徳学園新聞」第224号、「崇徳学園新聞速報版」通算
271,273,274,282,284,287,288,290,291,294,296,298,299,300,301,302,303,304,306,308,309,310,311,312,313,314,315,317,318,319,342,343,344,345,346,347

 

 さまざまな競技会場に足を運び、精力的に取材した成果が、なによりも速報版の写真に表れています。

 県インターハイが始まると、気迫あふれる表情や動きをとらえた写真も増えてきました。「毎回ガッツポーズの集合写真だけではいけない」という反省を、6月以降の紙面に反映させたのでしょう。特に、準優勝の男子剣道、サッカーの準決勝進出試合、個人戦5階級制覇の柔道、2年ぶり54度目優勝の男子バレーボール、男子バトミントンの玉澤選手の写真は秀逸でした。応援に来られなかった生徒にも一体感を感じてもらおうと、写真を重視した取材姿勢は、生徒や学校関係者にもアピールできたと思います。

 素晴らしい写真を多く載せている学校は、見出しや原稿も充実している傾向が感じられます。崇徳高校もその例外ではありませんが、取材した写真を、フロントで大きく扱うという首尾一貫した編集方針もそれを後押ししたと思います。部員のチームワークや、やる気も引き出され、紙面の熱気となって読む者に伝わってきます。1面の5分の1程度のスペースを使い展開した「運動部を応援に行こう!」も好企画でした。

 一方、見出しや写真説明に、競技の男女別が入っておらず、読みにくい記事もありました。3名が全国インターハイの出場を決めたボクシングでは、顔写真に階級と名前は入っていますが、学年とクラスの組も入れたほうが良いでしょう。また写真説明では、勝負の結果いかんにかかわらず、対戦校名や何回戦の様子であるかを1行目に明記したほうが親切だと思います。

 来年は、選手や支える人たちの舞台裏にも切り込んでみてください。(秋山哲也)

 


 

「工業っ子」を読む(PDF)

◆優秀賞(企画)

長崎県立長崎工業高校

「工業っ子」NO.150、号外、NO.151、NO.153、NO.154

 

 新聞部員たちと、読者生徒と、そして取材対象の各部の部員たちも同じ学校に通う仲間。そんな距離感の近さが学校新聞の大きな特色で、とくにこの「工業っ子」は新聞部員が読者の代表として各部の仲間たちを取材し、応援する気持ちがそれぞれの記事から伝わってくる。報道文では基本とされる「だ」調ではなく、「です・ます」調を続けているのも、そんな親密さの表れだろう。

 今回とくに目に留まった記事はNO.151の「この感動を伝えたい 高総体この一枚」だ。各競技会場での観戦取材中、4人の部員自身が感動した瞬間の写真を記事とともにまとめたもので、「少しでも写真の雰囲気が伝われば嬉しいです」とある。

 読んでみると、雰囲気だけでなく、見出しの通り各記者の感動が伝わってくる。この記事は最初から予定されていたものかは不明だが、このような視角は高く評価したい。他の写真同様、もっと大きな写真だとさらにインパクトは増しただろうが......。

 新聞部の全競技回りは恒例とのことだが、他の高総体関係の記事を読んでも、実に多くの人たちへのインタビュー取材が盛り込まれているなど、決して「気分屋の」顧問の先生(笑)の指示に従っているだけではない大変積極的な姿勢がうかがわれる。各部活もさることながら、この新聞部に対しても、学校関係者ならずとも大きな声援を送りたいと思う。(牧野修三)

 


 

「桜高新聞」を読む(PDF)

◆優秀賞(レイアウト)

石川県立金沢桜丘高校

「桜高新聞」第225号、「桜高新聞速報」第91,92号

 

 オーソドックスな紙面作りであるが、写真、見出し、レイアウトがとてもよい。写真は紙面の上部に大きく、下に小さくという基本構成となっていて、非常に安定感がある。剣道部や卓球部の写真はイキイキしている。当日の臨場感が伝わってくる。また、見出しが非常に的確である。見出しの基本が見事にできている。

 225号トップは「剣道部 北信越大会 四郎丸君個人3位 今までの成果をすべて出しきる」とあるように、種類、内容の2本を配し、3本目に本人の弁も出している。この記事だけでなく、本紙、速報すべての記事で試合結果や個人名など的確な見出しが付けられている。まさに、見出しをみれば記事が分かる。さらに、種類よりも内容の見出しを大きく扱っている点も評価できよう。

 レイアウトでは、225号8面が秀逸。流し組みの紙面構成と見出し、写真のバランスが非常に良い。生徒の勇姿が伝わってくる。読んでみようという意欲がわいてくる紙面である。

 記事においても、結果をしっかりと載せ、選手、顧問等にもインタビューをしている。今後、選手の苦労話や個人エピソードを載せたりして記事を多角化し、変化を持たせるともっとよくなるであろう。(中根淳一)

(2017年11月 9日 04:00)
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