建築を学ぶ全国の修士学生の作品を集めたコンテスト「トウキョウ建築コレクション2025 全国修士設計展」の公開審査会が3月8日、東京・代官山の「代官山ヒルサイドプラザ」で行われました。
(上智大学・津田凜太郎、写真も)
10点を公開審査
設計展は、全国の修士学生による修士設計・修士論文を集めた日本初となる全国規模の修士設計・論文展「トウキョウ建築コレクション」の一環として行われました。今回のテーマは「光芒一閃」。社会的な不安や変化の中で、新たな空間や生活様式を見出すことを目指し、参加学生たちは多角的な視点から設計に取り組みました。一次審査を通過した約10点の作品が展示され、公開審査会では、千葉学氏(審査員長)をはじめとする建築界の第一線で活躍する審査員が、展示された模型やパネルを基に、出展者との質疑応答を行い、各賞とグランプリを選出しました。
分野を超えた議論の場に
大会の運営を担うのも、建築を学ぶ学生による有志団体「トウキョウ建築コレクション実行委員会」です。大学・学年を問わず関東圏を中心とした学生たちが集まり、企画から当日の運営までを行いました。今年度は特に、例年に比べ少人数での運営体制となり、常に業務が続く中での開催となりました。実行委員長である佐藤仁斉さん(工学院大学4年)は、「休憩もあまり取れない厳しい状況もありましたが、出展者や審査員の方々から感謝や称賛の声をいただき、達成感の方が強く残りました」と振り返ります。トウキョウ建築コレクションの特別協賛として企画に携わっていた建築資料研究社の種橋恒夫さん(66)は、「2007年の初開催から、着々と建築業界での知名度も上がっている」と手応えを感じています。審査員の選定から依頼、協賛企業の募集や営業活動も全て実行委員の学生が行うなど、学生による自主的行動が実を結んだ形です。来年度は「トウキョウ建築コレクション」が20周年を迎え、さらなる充実への期待も高まっています。
「トウキョウ建築コレクション」は、修士学生の研究成果を広く社会に発信し、建築学における分野を超えた議論の場を提供することを目的としています。その成果は例年、建築資料研究社/日建学院の協力のもと書籍化されています。これからも、建築界における「若手の登竜門」としての役割を果たしていってほしいと思います。