「わたしは、私。」若手も活躍 百貨店のシゴト ~ そごう・西武 人事インタビュー

 

 

 池袋の駅前に店舗を構える「西武池袋本店」。美しい宝飾品や可愛らしいコスメ、デパ地下にはおいしそうなお惣菜や全国各地から集められた特産品の数々----。見ているだけで楽しくなってしまうようなお店を作っているのは、どんな人たちなのでしょうか。人事部の中村雄太郎さん(採用担当)にお話を伺いました。

(上智大学・津田凜太郎、写真は法政大学・嘉藤大太撮影) 

 

そごう・西武 「そごう」「西武」の百貨店を展開するセブン&アイ・ホールディングス傘下の百貨店運営会社。全国に10店舗を展開している。2003年にそごうと西武百貨店が経営統合し、2009年にはミレニアムリテイリング(持株会社)・そごう・西武百貨店の3社が合併し「そごう・西武」が誕生した。

 

思いついたら、まず行動

 

――そごう・西武では、どのような人材を求めているのでしょうか?特徴や、必要な能力を教えてください。

 

 「わたしは、私。」そごう・西武にはこのようなコーポーレートメッセージがあります。これは、社員一人一人の個性を認め、若いときから活躍出来る場所作りを社内で行っていくというものです。総合職に新卒で入社した社員が最初に配属されるのは、売り場ではなく外商という部門です。

 

 外商は、一般の店舗とは違い、企業や個人顧客の元に出向いて、物やサービスなどの商品を販売します。この部門の魅力は、社員の個性をお客さんに対して思う存分発揮出来る点です。「お得意様セールス」と呼ばれる個人顧客向けの外商と、「商事セールス」と呼ばれる法人向けにサービスを提供する外商の2種類があります。百貨店というと売り場のイメージが強いですが、「営業職」として果敢にチャレンジできる人材が重要になっています。個性を活かすためには、まずは行動することが必要です。物販企画や販売案を思いついたら、まずは取り組んでみる、それによって新たな気づきや経験が得られます。

 

 

ーー採用の際に注目しているポイントはありますか?どのような経験やスキルが必要なのでしょうか?

 

 学生時代に主体的に取り組んだことが重要です。小さくても、自らが取り組んだ経験は糧になると考えています。採用で重視する点は「主体性」です。会社に対してどのような考えを持っているか、ではなく学生時代にどのような「経験」をしてきたかに注目しています。頭で考えることと、それを行動に移せるかは別です。企画案を思いついても、実行されなければ意味がありません。主体性や実行力は、実際に取り組んだ過去の経験がアピールになると思います。

 

「主体性」重視のキャリア形成

 

ーー社員の成長やキャリア形成を支援するための取り組みや制度はありますか。

 

 社員の成長やキャリア形成でも、大事になるのは「主体性」です。外商として3年のキャリアを積むと、自身の理想のキャリアを実現するための機会を得ることができます。希望に合わせて自発的に部署異動することが可能です。

 

 やりたい仕事の実現に向けて挑戦する社員をサポートするための「社内公募制度」。「なりたい自分」や「今後の自分自身のキャリア形成」を考え、2年ごとの将来目標設計を申告する「自己申告制度」もあります。

 

 

ーー近年、新たな取り組みを展開しています

 

 西武池袋本店をはじめ、各店独自の様々な新しい取り組みを行っています。西武池袋本店では昨年9月に全国各地の銘菓・名産を集めたコーナーを大幅リニューアルしました。次世代顧客である若年層もターゲットとし、老舗・名店の味を気軽に楽しめる売場に生まれ変わらせました。社員が自主的に店頭で販売する商品をセレクトし、若手社員の声を反映させたお洒落な売り場となっています。また催事場を対象にAIカメラを活用した顧客分析を行い、正確な顧客の数の把握と属性(性別・年代)を推定することができるようになりました。データをもとに、より顧客ニーズに合った品ぞろえを進めています。西武渋谷店では「CHOOSEBASE SHIBUYA」というデジタルとアナログを融合させた店舗を2021年9月にオープンしました。店頭には商品の詳細情報を閲覧出来るQRコードがある他、キャッシュレス決済でスムーズに買い物ができます。

 

 

ーーやりがいを感じるのはどのような時ですか。また、困難や苦労についても教えてください。

 

 採用担当になる前に、子ども服フロアで売り場を担当していました。一番やりがいを感じたのは、お客様に顔と名前を覚えていただき、『中村さんいますか?』と売り場に来ていただいたときですね。2019年からは人事部に異動し、社員の採用を担当しています。自分が採用に関わった社員が活躍している姿をみると、誇らしくも思いますし、嬉しいです。ただ、仕事スタイルや業務内容が多様化していく中で、会社の中にどんな部署があって、どんな仕事があるのかを分かりやすく噛み砕いて説明するのが大変です。就活生がいかにそごう・西武での仕事内容をイメージできるか、そこが採用担当としての要になると思います。そごう・西武全体では、現在新しいことに取り組もうという努力を積み重ねています。新しい企画案を若手社員が担当することも多く、社員自身のバイタリティや、やる気次第で年齢を問わず活躍できます。そのため、社員全員がやりがいを感じられる職場となっています。

 

中村 雄太郎(なかむら ゆうたろう) 慶応義塾大学法学部法律学科卒。2013年そごう・西武入社。西武池袋本店の子ども服フロアに配属。子ども靴売場や玩具売場で販売を担当し、2019年3月から、そごう・西武本部の人事部採用担当。主に新卒の採用業務を担当している。

 

取材を終えて
 1940年に開店して以来、池袋のランドマークとして人々に愛されてきた「西武池袋本店」。東京メトロ、西武、東武が乗り入れる池袋駅に直結する超好立地に、7万3000平方メートルの巨大な売り場を構える集客力は群を抜いています。そごう・西武の総額売上高4963億円(23年2月期)の約3分の1を占める池袋本店は、私にとっても子どもの頃から親しんできた存在です。長年、人々に愛され続けるのは、社員一人一人の日頃の努力と時代に合わせて変化していく柔軟性があってこそ。百貨店業界では暗いニュースを聞くこともありますが、西武池袋本店はコロナ禍を乗り越えその売上は好調です。その売上を支えるのは「主体性」を持って業務に取り組み、新しいことに率先して向き合う社員の方々なのだと感じました。

 

(2023年7月21日 09:30)
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