新聞社を超える新聞社へ ~ 読売新聞社 人事インタビュー

読売新聞人事部採用グループの平井翔子さん、鶴田瑛子さん、杵淵剛大さん(左から)

 

 

 「新聞社を超える新聞社へ」――。今年創刊150周年を迎える読売新聞社は、先日発表された東京・築地市場跡の再開発への参画など、報道以外にも様々なビジネスに関わっています。そんな新聞社で働く魅力とは。どんな人材が必要とされるのか。人事部採用グループの平井翔子さん、杵淵剛大さん、鶴田瑛子さんに聞きました。

(聞き手は法政大学・鈴木さりな、中央大学・行川綺夏、早稲田大学・河田奈々。写真は日本大学・小林翼撮影)

 

読売新聞社 約150年の歴史で培ってきた新聞発行業と、スポーツ・文化・エンタメ事業を2本柱とする「総合メディア企業」。「記者」「ビジネス職(広告)」「販売戦略」「事業」「経営管理」「メディアエンジニア」「DX推進」の7つの職種があり、職種別採用を行っています。「日本テレビ放送網」、「読売巨人軍 」、「中央公論新社」「よみうりランド」など約150のグループ企業と協働しながら、幅広い事業を展開しています。

 

「新聞withデジタル」ニュースを重層的に

 

――読売新聞は世界最大の発行部数を持つ新聞社として知られています。毎日の新聞発行に加え、「読売新聞オンライン」など、デジタルでのニュース発信も重要になってきていると思います。それぞれどのように位置づけていますか?

 

杵淵剛大さん(以下・杵):読売新聞は「新聞withデジタル」を掲げています。紙の新聞には一覧性、つまり、重要な情報が一目で分かるという特長があります。一方、オンラインは速報性に優れています。最近では記者が動画を撮る機会も増えています。それぞれの良さを生かして重層的にニュースを伝えていこうと考えています。

 

平井翔子さん(以下・平):能登半島地震のような災害が起きると、道路は寸断され、被災地には電波が届かない、ということもあります。そんな時こそ、全国約6600か所に広がる販売網を生かして、避難所に新聞を届けられるのが読売新聞の強みです。

 

 平井翔子さん

 

――新聞などのニュース発信以外にも、幅広い事業を手掛けていますよね?

 

杵:ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や箱根駅伝などのスポーツ事業や各種展覧会、先日発表されたばかりの築地の再開発事業など、スポーツ・文化・エンターテインメント事業を、報道に次ぐ、「第二の本業」と掲げています。正確で質の高い報道を維持していくためには、こういった事業で収益を上げていくことが欠かせません。ただ、私たちはどこまで行っても新聞社ですので、公益性・信頼性をおろそかにしてはなりません。報道への信頼があるからこそ各種事業を展開することができ、それらの事業であげた収益が報道を支えていく。こういった循環は、新聞社ならではと思っています。

 

2年連続の新聞協会賞 チーム取材が強み

 

――2年連続で新聞協会賞を受賞しています。取材現場の雰囲気を教えてください。

 

鶴田瑛子さん(以下、鶴):「唯一無二の全国紙」に向けて、全国の取材網を維持し続ける信頼性が強みです。私は2019年に入社して、今年の2月まで千葉支局にいたのですが、「読売新聞だから」と取材を受けてもらえることが多かったと感じています。読売新聞は能登半島地震の際も、発生初日から被災地の様子を写真とともに伝え続けました。全国紙で唯一輪島市に取材拠点を置いていたからです。

 

:能登半島にはこれまでに全国から延べ200人以上の応援記者が入りました。現在も発生半年の節目に向けて取材を続けています。全国紙ならではの規模を活かしたチーム取材は読売新聞の強みです。調査報道や提言報道など、いざというときにチーム一丸となり、多角的な視点で報道できるのも強みと言えます。

 

 鶴田瑛子さん

 

――チーム取材が読売新聞の社風ということでしょうか?

 

平:チーム取材の基本には個人の尊重があります。1年目の若手でも、提案するアイデアを積極的に採用してもらえます。

 

鶴:何か起きた時の瞬発力はすごいと思います。能登半島地震でも、避難所に届けられた新聞を、避難された方々が食い入るように読んでいたそうです。記事は記者が書いただけでは届きません。ニュースを必要としている人に届けるためにはどうすればいいのか、そのために1人1人が何をできるのか。そういった意識が社全体に共有されているのだと思います。

 

「社会のために何がしたいか」をやりがいに

 

――読売新聞に入社された理由を教えてください。

 

鶴:私は奈良県出身なのですが、高校では、生徒全員に1部ずつ新聞を取っていました。気になったニュースについて友達同士で意見を交わし合う、という環境で、ニュースが身近にありました。就活を始めたころは全く違う業界にも興味があったのですが、偶然大学の先輩だった読売新聞の記者と話す機会があり、社会の課題について熱く語られる姿にひかれ、ここで働きたいと思うようになりました。

 

平:高校時代に取材を受けたことがあり、こちらの意図とは異なる記事を書かれてしまったことがありました。その経験から、取材相手と真摯に向き合い、正確に伝えられる記者になりたいと思うようになりました。読売新聞の建設的かつ現実的な報道姿勢に共感し、入社を決めました。

 

 

 

――マスコミに就職するために頑張っていたことはありますか?

 

鶴:マスコミを志望したのが3年生の秋でした。ただ、就活の中でも、「社会人として何をしたいのか」と考え続ける時間だけはしっかり取っていました。いろいろな業界のOBと話す中で漠然と感じていた違和感が、読売新聞の記者と話した瞬間に一気にクリアになり「この仕事だ」と思いました。対策らしい対策はしていなかったのですが、OBに面接練習をしていただくなどして内定を得ることができました。

 

平:一般的な時事問題などの対策をしてもらえれば十分です。自分が何に心を動かされるのかを明確化することや、社会のために何をしたいのかをしっかり分析して言語化しておくことが、一番の対策なのかもしれません。

 

 杵淵剛大さん

 

――読売新聞で働くことの魅力は何でしょうか?

 

鶴:「自分にしかできない」仕事があることです。記者の仕事は地道な作業の積み重ねです。「鶴田さんだから」と話してくれた取材相手は沢山います。相手との信頼関係を築くことが、良い記事につながり、社会を動かす。一つ一つ、すべて忘れられない体験ですね。

 

杵:記者以外の仕事についても同じだと思います。新聞社の仕事は人と人との関わりで作っていくものです。誰がやっても同じ結果になる仕事はありません。一人一人が大事にされている会社だと思います。読売新聞は今年創刊150周年を迎えます。ありたい姿は「新聞社を超える新聞社」です。挑戦を楽しみたい人、今の自分を乗り越えたい人、みんなで繋がって頑張っていこうというみなさんと一緒に働いていきたいと考えています。もしご興味があればぜひ読売新聞に来ていただきたいです。 

 

平井 翔子(ひらい・しょうこ)早稲田大学卒。2015年に記者職で入社。振り出しの北海道支社で事件事故、行政、教育などのテーマを担当。2020年に東京本社配属後は、子ども・若者や障害者、高齢者などの福祉取材に携わる。 2023年6月から人事部採用グループ。 

杵淵 剛大(きねぶち・たけひろ)早稲田大学卒。2017年に経営管理職で入社。経理部・財務部では日々の入出金や資金繰り管理を担当。2019年に人事部へ。人事担当、研修担当を経て、2021年から採用グループ。コロナ禍では、3本社合同入社式のTeams中継を担当した。 

鶴田 瑛子(つるた・えいこ)一橋大学卒。2019年に記者職で入社。振り出しの千葉支局では、事件事故取材を長く経験。県警キャップも務めた。八街市で小学生が飲酒運転のトラックにはねられ5人が死傷した事故では発生当初から裁判まで取材に携わった。2024年2月から人事部採用グループ。

 

(2024年5月17日 07:00)
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