「経済面のこの記事、面白いよ」「僕はこっちの広告のほうが気になる」
広げた新聞を指さしながら、参加者の会話が弾む。2017年12月12日夜、警備会社「関電セキュリティ・オブ・ソサイエティ(関電SOS)」(大阪市北区)の会議室で行われた研修のひとこまだ。
この日の目的は、新聞を短時間で効率よく読む方法をつかみ、記事を題材に人と話をする能力を養うことだ。参加した17人の社員は4、5人のグループに分かれ、朝刊で最も興味を持った記事や広告を選び、一つの壁新聞にまとめる「まわしよみ新聞」を体験。研修の終わりには、グループの代表が、作成した壁新聞のテーマ(題字)や記事への感想を発表した。
税制改革についての記事や、新型スマートフォンの発売の記事に興味を持ったという人が多いなか、吉田匡志さん(34)は『僕と妻の場合』という新刊書の広告を選んだ。「新婚なので、本のタイトルにひかれました。今日は新聞広告も会話の種になることを発見した。担当のお客さまは、新聞をよく読むお年寄りが多く、雑談にも使えそう」と、新聞が営業トークにも役立つと実感した様子だった。
研修を機に新聞を読む習慣がついた社員もいる。神戸市の実家から通勤している川本惣平さん(31)は「毎朝、食事をしながら30分は目を通すようになった。新聞を読むと、頭が仕事モードに切り替わる」と笑顔を見せる。
同社では18年1月23日、「書く力」の向上を目指した「模擬取材」の研修を行った。事件現場に駆けつけた記者役の社員が、警察官に扮(ふん)した読売新聞社員から話を聞き、記事にまとめる設定だ。参加者は短時間で分かりやすい文章を書くポイントを学んだ。
同社の原田昌也社長は「営業現場では会社の仕事の内容を、いかに相手の印象に残るように伝えるかが問われる。社員には新聞をよく読んで文章力を磨き、要点をおさえた説得力あるプレゼンテーション(提案)ができるようになってほしい」と期待する。
【実施機関】2017年12月~/受講者17人