神奈川県鎌倉市立大船中学校で2015年10月22日、3年生を対象にした企業による出前授業が行われ、読売新聞教育ネットワークに参加している4企業がそれぞれの企業の社会的な役割やキャリア教育を生徒たちに教えた。
今春の修学旅行を大船中学校側と企画したJTBは、法人営業横須賀支店長の益山賢太さんが、「形には残らないが、心に残る仕事の魅力」「海外の人との触れ合いの意味」について考える授業を行った。
1時限目は、益山さんが1991年に入社してからの経験やエピソードを織り込みながら、「感動のそばにいつも」のブランドスローガンを掲げるJTBの国内外の旅行関連事業を紹介し、「人が動くことで文化が生まれる。その交流を促進したい」とアピールした。
この話の中で、生徒の心を捉えたのは、「山形・最上三十三観音霊場巡礼」ツアーを巡るエピソード。<最後の旅行>を覚悟して参加した老夫婦に、2人だけの部屋を急きょ確保するなど、サポートに心を砕いたが、旅行後まもなく夫は亡くなる。「『観音さまに祈りたい』という夫の願いもかない、2人でゆっくり話す機会も取れたのは新婚旅行以来のこと。一生の思い出になった」という妻の感謝の言葉に号泣した。そこに仕事のやりがいを見つけた――という内容に、教室はしんとした雰囲気になった。
2時限目。生徒たちは4人ずつのグループに分かれ、「京都に11時30分ごろに着く新幹線の切符がほしい」という客の申し込みに、JTB社員になりきって、時刻表を使い、最適な列車の切符を手配するという実習に臨んだ。確認が必要なポイント(利用者数、乗車駅など)をグループで考えて発表、新横浜9時29分発京都11時25分着「のぞみ19号」という結論にたどり着いた。
その後、地元・鎌倉に、海外から観光客をもっと呼び込むため何を改善したらいいか、グループで話し合った。「外国人用の案内看板を増やす」「観光案内のアプリをつくる」「バスを増やす」「レンタサイクルを充実する」など、具体的な提案が次々に発表された。
これまで仕事で40か国以上に足を運んだという益山さんは「2020年には東京五輪もある。海外の人と触れ合ってほしい。世界がもっと近くなると思う。相手を知らないと、友だちにはなれない。国と国のいさかいがあっても、友だちが増えていったら、平和で豊かに暮らせる世界になる」というメッセージで、授業を終えた。
授業を聞いた中務真衣さんは「山形の話が最も心に残った。将来は、国際的な仕事をしたいが、今日の話はとても面白く、ためになった」と笑顔を見せ、山本悠月君は「鎌倉のことにも触れて、わかりやすく面白かった。1年の時の総合学習『鎌倉の未来を考える』にもつながる話だった。エピソードやこぼれ話も楽しかった」と感想を話した。
益山さんは「親しみやすい問題設定ができたかな、と思う。話に真剣に聞きいってもらったようだ」と手ごたえを口にした。
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