「未来の医療を創る君へ」東北大学医学部 webセミナー
第一線の医療従事者や研究者が高校生に講義するオンラインセミナー「Withコロナ 未来の医療を創る君へ」最終回として、東北大学医学部が10月10日に講義を行った=写真は、東北大学セミナーを教室で受講する吉祥女子高等学校の生徒たち(学校提供)=。
同大は2017年、東大と京大とともに初の指定国立大学法人に指定され、ゲノム医療を中心とした個別化医療や予防医療を推進中だ。現在、15万人の遺伝子データを有する東北メディカル・メガバンク機構など8部局が連携、「未来型医療」の実現を目指している。セミナーでは、この未来型医療に取り組む研究者3人が講師となり、臨床と基礎研究の魅力を話した。
トップバッターの眼科の中澤徹教授は、日本人の失明疾患1位が緑内障だと指摘。患者が増えているとしたうえで、「AIがあれば緑内障補助診断が可能となる。スマートフォンを使った緑内障補助診断システムを開発、年度内に完成させたい」と語った。
「まず、命と向き合わないと新しい数学は生まれないと思い、命の現場に入りました」。こう生徒たちに切り出したのは、大学院で数学を学んでから医学の道に進んだ木村芳孝同大名誉教授だ。産婦人科医でもある教授は、周産期の現場で直面した課題に取り組むためにAI研究に携わるようになったこと、なぜ、AIによるコンピューター補助診断が欠かせないのかなどを話した。
最後に話した田宮元教授はゲノム遺伝統計学が専門。「欧米人ではなく、日本人のゲノムを用いた治療を、がんや小児難病で進めている」として、より患者の特性にあった個別化医療の最前線を紹介した。
講義後は、「木村教授らの講師」「若手医師」「現役医学部生」の3グループに分かれる懇談会。AI時代に求められる医師像、地域医療のあり方、医師になってからの勉強量など様々なテーマで、生徒たちは活発に質問した。