「未来の医療を創る君へ」順天堂大&長崎大 webセミナー
順天堂大学セミナーの最後に、講師の天野教授らに拍手する生徒たち
新型コロナウイルス治療や高度先進医療に携わる医療従事者らは日々どのような思いで命と向き合い、どのような未来を見据えて働いているのか──。第一線の医療従事者や研究者が高校生に講義するオンラインセミナー「Withコロナ 未来の医療を創る君へ」の2回目が10月3日に行われた。
2回目のセミナーを開催したのは、順天堂大学心臓血管外科と形成外科、長崎大学医学部と熱帯医学研究所。
順天堂大からは、まず、子どもの心臓手術を専門とする中西啓介医師が講義し、「コロナに萎縮することなく、必要とする人に医療を提供することが大切」と話した。続いて形成外科の田中里佳先任准教授は、糖尿病で壊死した足の治療のために進めている再生医療研究を説明、臨床と研究の両立は可能だと説いた。2012年に天皇陛下の心臓手術を執刀した天野篤教授も、医師に求められる力から安楽死の是非まで様々なテーマで生徒たちの質問に答え、最後に、こうエールを送った。「出口のないトンネルはない。気持ちを強く持って自分たちの課題に向かっていってほしい」。
長崎大学では「グローバルヘルスで未来を創る」をテーマに、感染症に立ち向かう6人が講義した。栁原克紀教授は新型コロナウイルスの現状と今を踏まえながら、「自分で考える力」「国際感覚」などが求められると指摘。アフリカで研修医として働いた有吉紅也教授 は、入院患者の3割以上がエイズの末期患者という現場を紹介。「聴診器(臨床)だけでは救えない」というこの体験から、エイズ研究に取り組みはじめたと語り、健康格差のない世界を目指すべきだと訴えた。山本太郎教授は国際援助隊として2010年、ハイチ大地震とその後のコレラの治療に当たった貴重な体験談などを話した。
長崎大学セミナーの受講後、医療を通して社会とどう関わるべきかを話し合う石川県立金沢泉丘高校の生徒たち |
※医療オンラインセミナーは三菱みらい育成財団などの協力を得て実施しています。