目指せ!未来のリーダー GNLFが国際会議

基調講演で「健全なコミュニティーの形成には、ニュースリテラシーが不可欠」と語った読売新聞教育ネットワーク事務局の吉池亮事務局長

メキシコ、スロバキア...9か国・地域の40人参加

 次世代のリーダー育成を目指す学生団体「グローバル・ネクストリーダーズフォーラム(GNLF)」の国際会議(特別後援・読売新聞社、The Japan News)が、2月23日から3月1日まで、東京都千代田区の読売新聞東京本社などで開かれた。

 会議には、メキシコ、スロバキア、キルギス、ブルガリアなど9か国・地域の学生ら40人が参加。「コミュニティー」をテーマに、家族や学校、地域、会社、国家間など大小様々なコミュニティーが抱える問題についてすべて英語で、活発な意見を交換した。

 

 GNLFは2010年、世界中から異なる文化的背景を持つ参加者が一堂に集い、議論を通じて多様な価値観を知り、国際的に活躍できるリーダーに必要な素養を身につけようと、東京大学の学生らを中心に設立された。本会議の開催は今年で9回目。

 

健全なコミュニティーに必要なメディアとは

 初日の基調講演では、読売新聞前ニューヨーク支局長で、教育ネットワーク事務局の吉池亮・事務局長が「健全なコミュニティーの形成には『フェイクニュース』を排除する健全なメディアの活動が欠かせない」と強調。

 ニューヨーク支局在任中に取材したジャーナリズムスクールの学長などの言葉を引用しつつ、インターネット上に流れる大量の情報に惑わされることなく、どの情報が正しいのかをじっくりと精査し、理解するというプロセスを社会全体で共有すべきだと訴えた。

 

 基調講演に続き参加者らは、パワーポイントを使いながら母国の現状や課題、その文化的背景などを発表した。メキシコ国立自治大学のカレン・サマンサ・エスカミラさんらは、メキシコで多数発生している女性への暴力やその背景にあるマチズム文化を語り、文化的、歴史的な負のメンタリティーの改革が求められていると訴えた。

ハンガリーの女性の社会的地位について発表した学生

 

LGBTQへの偏見をなくすためには

 期間中、参加者らは性的少数者(LGBTQ)や児童虐待の実情を知るため、都内でフィールドワークを行った。

 電通ダイバーシティ・ラボを訪問した一行は、同性婚をはじめLGBTQを取り巻く調査結果をヒアリングし、どうしたらマイノリティーへの偏見をなくせるか意見を交した。

 参加者からは、「早いうちからの教育が重要」「今の子供たちはデジタルネイティブで、多くの情報に抵抗なく触れることが出来る分、多様な価値観を受け入れやすい」という指摘があった一方、「教育の重要性は認めるが、現在、自分の国では性には男と女の二つしかないというような教育が行われている。このような教育なら、やめてほしい」という意見も出された。

 このほか、都内の障がい者施設や児童虐待問題などに取り組むNPO法人を訪れ、これらの問題への理解を深めた。

 

多様性を認め合い、違いを理解しよう

 GNLF会頭で東京大学2年の松本泰平さん(20)は全体を総括し、「コミュニティーの共生と持続可能な発展には、多様性を認め合い、お互いの違いを理解する必要があるというコンセンサスが確認できた。しかし、多様性という言葉は、抽象的で安易に使われがち。その難しさを自覚する必要がある」と語った。

 メキシコ国立自治大学のセルヒオ・ウエスカ・ヴィレダさん(22)は、「多くの国が自国主義に陥っている時代と思っていたが、アジアや中東などの学生と初めて話し、互いの違いを理解しあおうという姿勢をみんなが持っていることがわかってよかった」と手応えを感じたようだった。

小グループに分かれ、活発な意見が交わされた
(2020年3月 9日 15:39)
TOP