高校生らが活動報告 ~ユースSDGsフォーラム

栃木県立栃木農業高校のプレゼンテーション

環境保全活動など紹介

 高校生や大学生が持続可能な発展のあり方について考える「ユースSDGsフォーラム ~ヘルシー郷土料理で健康まちおこし!~」(Sante! 実行委員会、環境再生保全機構主催、読売新聞東京本社など後援、タニタなど協賛)が1月11日、東京・大手町の読売新聞東京本社で開かれた。日頃から環境保全活動などに取り組む首都圏の8高校2大学の生徒・学生計45人が参加、それぞれの活動紹介などを通じて理解を深めた。

 

 SDGsは、「Sustainable Development Goals」の略で、よりよい社会の実現に向け国連が2015年に採択した国際目標。貧困や栄養の改善、健康な生活の確保、質の高い教育など17の目標と169の具体策で構成し、30年までの達成を目指す。先進国を含む全ての国や人々が行動することで経済と環境を両立させ、「地球上の誰一人として取り残さない」ことを掲げる。

 

 フォーラムは、持続可能な社会づくりに貢献する人材の育成を目的に行われた。参加校が取り組んでいる活動は、「社会や環境に配慮したエシカル(倫理的)なファッションなどに関する情報発信」(東京都立国際高)、「不要になった服を回収し難民に送る」(昭和女子大付属昭和高)、「キャンパス内での節水・節電ポスターなどの掲示」(千葉大環境ISO学生委員会)など。グループ討論では、それぞれの活動の魅力や今後の方向性、活動を継続させるために後輩たちにどう引き継いでもらうかなどが話し合われた。

各校の枠を超えて議論する

 こうした議論を踏まえ、高校や大学ごとに「ユースSDGs宣言」を作成し発表。自分たちの活動を充実させるほか、周りの人たちにもSDGsへの関心を高めてもらうことに注力することを盛り込んだ内容が目立った。

 

大木正和さん

 生徒らの宣言を受け、環境再生保全機構の大木正和さんは、地球環境について学べる施設「富良野自然塾」(北海道富良野市)が発信するメッセージ「地球は子孫から借りているもの」を紹介。「地球への負荷をできるだけ抑えて、次の時代にちゃんと使える地球を残しておこう」と呼びかけた。

 

 また、読売新聞東京本社の吉池亮・教育ネットワーク事務局長は、生徒らが生活に身近なことや地域に関心を持って活動をしていることを評価、「地域の先に世界が広がっていることを意識して、視野を広げてもらいたい」とアドバイス。タニタの猪野正浩・ブランディング推進部長は、「どんな小さな取り組みも、継続することで輪が広がっていく。色々な人の意見を聞きながら、一人ひとりが強い意志を持って活動を続けてほしい」とエールを送った。

 

本紙編集委員ら基調講演

伊藤剛寛編集委員

 今回のフォーラムではまた、本紙の伊藤剛寛編集委員らが基調講演を行った。伊藤編集委員は「食とSDGs」と題し、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物(食品ロス)について触れ、日本では2016年度の推計で年間643万トンの食品ロスが生じていることなどを指摘。賞味期限と消費期限の違いを理解することや、食べ物を「買いすぎない」「作りすぎない」「食べきる」ことの大切さなどを訴えた。

 

 また、管理栄養士でもあるタニタの荻野菜々子さんは、同社などが取り組む、郷土料理を健康的で現代風にアレンジするレシピコンテストの意義を紹介。郷土料理の継承や地域の活性化などに結びつける狙いがあることや、食塩の量を控えるなど健康を考えた食事は、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」という目標につながることなどを話した。

タニタ管理栄養士の荻野菜々子さんによる基調講演
参加高校生と大学生らで記念撮影

(2020年1月21日 10:08)
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