高校生の英語ディベート大会 栄光学園が初優勝

スピーチする優勝した栄光学園高校の生徒

◆アスリートの意見表明方法を討論 

 

 高校生3人のチームが英語で討論する「第11回日本高校生パーラメンタリーディベート連盟杯全国大会」(メディアパートナー・読売新聞社)が3月26、27の両日開かれ、栄光学園高校(神奈川)が初優勝した。

 

 大会はオンライン会議システムを使って行われ、地方大会を勝ち抜いた44校が出場。決勝では、3連覇を目指す筑波大学付属駒場高校(東京)と対戦し、「アスリートが国際的なスポーツイベントを政治的意見を広める手段として利用することを支持するか」をテーマに討論した。

 

 栄光学園高は肯定側、筑波大付属駒場高は否定側に割り振られ、25分の準備時間の後、両チームのメンバーが1人ずつ交互にスピーチした。肯定側は「アスリートの行動が社会の意識を変える」と主張し、「マイノリティー団結のきっかけにもなる」と訴えた。これに対し、否定側は「アスリートは弱者に寄り添える立場ではない」などと反論したが、「国際大会に出場するアスリートは知名度があり、マイノリティーの代弁者になりえる」などの肯定側の意見が審査員の支持を得て、栄光学園高の勝利が決まった。

 

 同校英語部顧問の片居木(かたいぎ)純太教諭は、「3人は、中高生向け大会の企画・運営に中心的にかかわるなどディベートを楽しみながら切磋琢磨(せっさたくま)してきた。目標だった優勝を手にして感慨深い」と喜んだ。

 

一般社団法人日本高校生パーラメンタリーディベート連盟 北原隆志理事長の総括

 オンラインが一般的となり、生徒たちは他県や世界各地の大会に出場しやすくなりました。その一方で、目の前に聴衆がいないため、話し方よりも論理展開に意識が向きがちで、全体的に早口で単調になる傾向が見られました。パーラメンタリーディベートは元来、聞き手の心をつかむスピーチの訓練法なので、強弱や間、ユーモアなども工夫して、実社会でも役に立つ話し方を目指してもらいたいと思いました。

 

決勝戦の動画(約1時間)

 

審査員から視聴する際のアドバイス

① 討論の論題について、見る前に数分、自分で少し考えてみましょう。

 ディベートの面白さは、当たり前と思っている考えが様々な立論・反論・比較によって崩され、再構築される過程にあります。だからこそ、手本となる試合動画を見る前に、一度自分なりの考えを組み立てると、より楽しめるでしょう。

 

② 初めて見るときは、早口の英語を一言一句全て聞き取ろうとせず、繰り返し出てくるフレーズなどを拾うようにしましょう。

 聞く力は徐々に身に付くので、まずは理解できる範囲で楽しみましょう。

 

③ 経験者は、肯定側、否定側の言い回しなど、気を付けて聞きましょう。

 気を付けて聞くと、説得力があるように聞こえる理由などがよく分かるようになります。また、自分のスピーチに応用できるフレーズも見つかるかもしれません。

■即興型英語ディベートとは Parliamentary Debate

 もともと、イギリス議会の答弁トレーニングとして始まった競技ディベート。高校生、大学生向けの国際大会や世界大会がある。

【高校生連盟杯の流れ】

 試合の約20分前に論題が発表される。各3人のチームには政府(肯定)と野党(否定)の役割が与えられ、限られた時間と知識で立論することが求められる。1人4分〜7分でそれぞれの主張を述べた後、質問や反論をしながらスピーチを繰り返し、どちらがジャッジを説得できるかを競う。

1)論題発表

 政府、野党の立場決定 20分でスピーチ準備(決勝は25分)

2)ディベート

 賛否の根拠、議論裏づける具体例を示しながら主張と反論(各5分、決勝は7分)

3)総括スピーチ

 改めて自説の優位性をアピール(各4分)

4)審査

 ロジックとエビデンスはあったか?優れたスピーチをジャッジ

(2022年5月 9日 14:30)
TOP