「本の街」神保町 滞在人口など調査報告会
官民学の関係者が集って東京の文化的な魅力を発信している「東京文化資源会議」が、日建設計総合研究所に委託して行った東京・神保町の動向調査の報告会が2024年11月26日、東京都内で開かれ、街を訪れる若者や女性が増えていることなどが報告された。
「20代」「女性」増加 「本買う人は増えてない」
本の街として知られる神保町では近年、若者や外国人旅行者が増えているとされ、実態をデータや関係者の声で把握するため、調査が行われた。
携帯電話の位置情報から「滞在人口」を調べると、40代が最も多く、最近は20代が増加していることがわかった。男女別では、女性より男性が多い一方、2018年からの比較では、平日・休日とも女性が増加傾向にあることもわかった。
街頭で20代以下を中心に街に来た目的をアンケートしたところ、「飲食」が25%と最も多く、「本を買いに来た」と答えた人は11%だった。同研究所の藤田朗・主任研究員は「本のある街で飲食できることに魅力を感じているのでは」と推察する。
調査では古書店へのアンケートも行われ、コロナ禍以前に比べ、来店者数・売り上げともに減少する一方、外国人客が増加しているという回答が寄せられた。さらに、古書店関係者からは、神保町を訪れる若者や女性が増える一方で本を買う人が増えていないとして、「このままでは神保町自体が、入場無料の博物館のようになってしまう」との懸念も出された。報告会の参加者からも、「根本的な問題だと思う」と同意する声が上がった。
同会議の柳与志夫・事務局長は「本屋があることが飲食店の魅力にもなる。本屋に還元できないのはまずいし、続かない」と今後、対応を考える必要があるとの考えを示した。
同会議は調査結果を、神保町の文化資源のさらなる活用と発展を目的に策定する「神保町ビジョン」の参考にする予定だ。