渡辺稟惺さんが全国高校ビブリオバトル決勝大会へ...読売中高生新聞大会、オンラインで開催

 自分の「推し本」の魅力をアピールする書評合戦「全国高校ビブリオバトル」。昨年12月14日、決勝大会への出場者を決める「読売中高生新聞大会」が、オンラインで開かれました。出場した30人の頂点に立ったのは...愛知県立安城(あんじょう)高校2年、渡辺稟惺(はいせ)さん(17)! 多くの人を引き込んだスピーチのポイントと、渡辺さんの思いとは...?
 

 

優勝 愛知県立安城高校2年 渡辺稟惺さん

「書店員は見た! 本屋さんで起こる小さなドラマ」森田めぐみ 大和書房 1650円

 インターネット上で手軽に本が買えるようになった今、全国各地で書店の数が減り続けている。そんな時代だからこそ――。「私が紹介するのは、読むと本屋さんに行きたくなる、そんな作品なんです!」。そう力を込めて、スピーチを始めた。

 

 渡辺さんが選んだ1冊は、書店員の著者が出会った、個性的なお客さんとの日常をつづった短編集だ。収録されているエピソードは50編以上。そのうち、印象に残った二つを紹介した。

 

 一つは孫娘のためにある本を探しにきたおじいさんの話。「名を名乗れ」という本で、映画化されている、というくらいしか手がかりがない中、著者が探し当てた本は「君の名は。」だった、というオチだ。

 

 「え、そうなる? おじい、そうはならんくね?」。やりとりを臨場感たっぷりに伝えた後、素直にツッコミを入れると、聴衆からは笑みがこぼれた。

 

 さらに、この本には絵本から小説、ビジネス書まで、幅広いジャンルの本の魅力が書かれていることも紹介。「目の前でオススメされているような気持ちになる。10冊ぐらい『欲しいリスト』が増えて、だいぶ困ってます」と語り、興味を引いた。

 

 この本を読んで、「本屋さんがこんなにも人の思いが詰まっているあったかい場所だと気がつき、特別だなと思った」といい、「(数が)減っていることがとてもつらく悲しく感じます」と語った渡辺さん。「この本に興味を持っていただけたら、ぜひ書店で買ってお楽しみください」と強調し、本と書店への愛を見事に語りきった。

中高生新聞大会の決勝でスピーチする渡辺さん

「人の思いが詰まった場所」本と書店への愛、熱く語る...第一印象大事に

 小学生の頃から本が好きで、図書室に通っていたという渡辺さんは、高校に入ってビブリオバトルにのめり込んだ。文芸部で、小説などの創作活動にも励んでいるという。

 

 今回のスピーチ作りでは、初めて読んだ時の第一印象を大事にしたそうだ。おじいさんのエピソードを読んだ時に思わず笑ってしまったといい、「このエピソードの面白さを、伝わるように紹介したい!」と構成を考えていった。

 

 ビブリオバトルでは、その語り口も大事なポイントになる。早口になってしまうことがあるため、先生や家族にスピーチを聞いてもらい、抑揚(よくよう)や表現を入念にチェックしてもらって、本番に臨んだ。

 

 見事、全国の猛者(もさ)たちが集う決勝大会への切符を手にした渡辺さん。実は、決勝大会は前回に続き2度目の挑戦となる。「今回はさらに磨きをかけて、優勝を目指したい。多くの人に推し本の魅力が伝わるように頑張りたい」と意気込んでいた。

 

熱戦の様子、YouTubeで...渡辺さんは決勝大会へ

 読売中高生新聞大会は、2023年度に続いて2回目の開催。定員を大幅に上回る50人以上から応募があり、抽選で出場者を絞り込んだ。

 

 大会は、出場者を5人ずつ六つのグループに分けて予選を行い、各グループの1位が決勝で戦うという形式で行われた。出場者は5分以内で自分が選んだ1冊の魅力を語った後、2分間、ほかの出場者からの質問に回答。最後に、出場者とその保護者らの投票で、勝者を決めた。決勝の様子は、ビブリオバトル決勝大会を主催する「活字文化推進会議」のYouTubeチャンネルで視聴できる=QRコード=。

 

 優勝した渡辺さんは「中高生新聞代表」として、今月26日に東京都内で行われる決勝大会に出場する。

(2025年1月10日 17:20)
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