NRI学生小論文コンテスト 大賞に森田さん、中吉・是石さん

NRIの此本臣吾会長兼社長から表彰状を受け取る森田輝さん

描こう 持続可能な未来

 高校生、大学生が世界に向けて未来を提案する「NRI学生小論文コンテスト2019(主催=野村総合研究所、略称NRI)の最終審査会が12月20日、東京都内で開かれ、高校の部では、市川高校2年、森田輝(きらり)さん(17)が、大学の部では共同論文を発表した鹿児島大学3年、中吉聖仁さん(21)と同大3年、是石弘基さん(21)の二人が大賞に選ばれた。森田さんには副賞30万円が、中吉さんと是石さんのペアには副賞50万円が贈られた。

 

特別審査員に池上彰さんら

 14回目となる今年のテーマは、「サステナブル未来予想図」。持続可能な社会の実現に向けての提案をまとめた作品2,300部(高校の部2,216部、大学の部84部)の応募があった。

 最終審査会では、高校生5人と大学生3組が、特別審査員の池上彰氏(ジャーナリスト)や最相葉月氏(ノンフィクションライター)らの前で、それぞれの論文を5分間ずつプレゼンテーションし、審査員の質問に応えた。

 

ビデオ通話でサポート

 高校生の部の大賞に選ばれた森田さんは、今年の夏、ケニアでの民間ボランティア活動に参加した経験をもとに、アフリカの子供たちと世界をビデオ通話で結ぶ「アフリカの子供達と世界をつなぐ『BUDDY』プロジェクト」を発表した。

 「BUDDY」とは英語で仲間の意味。「仲間として、つながりたい」という意味を込めて、プロジェクトを命名した。アフリカの子供たちと先進国の子供たちがビデオ通話で交流し、アフリカの子供たちの知的好奇心に応え、世界を広げるサポートをしようという内容で、森田さんは、「現地での子供たちの輝く目と尽きない好奇心が印象的だった。自分の価値観にとらわれず、互いに学びあいたい。アフリカの子供たちが外の世界を知ることは、貧困問題解決の一助になるはず」と訴えた。

 これに対し、最相葉月さんが、「どうして価値観にとらわれないというルールを設けるのか」と質問。森田さんは「ケニアの子供に誕生日を尋ねた時、孤児だったその子は誕生日がわからず、うつむいてしまった。その時、自分で当然と思っていることを当然と思ってはいけないと強く思った」と回答し、「素晴らしい気づき。そういう話は、プレゼンに入れましょう」とアドバイスを受けた。

 

漂着ごみ回収の仕組み

 大学生の部の大賞に選ばれた鹿児島大学の中吉聖仁さんと是石弘基さんの二人は今年、県内の沖永良部島のごみ拾いのボランティアに参加。拾っても拾っても尽きないマイクロプラスチックの漂着ごみを集めながら、大勢の人が楽しく続けられるごみ拾いの仕組みを考え、回収したマイクロプラスチックを活用し、南の島には降らない「雪」をイメージしたスノードーム作成を思いついた。

 ごみ拾いの参加者には、観光客を想定し、「えらぶのゆきプロジェクト」として、スノードーム作成エコツアーを提案。斬新な発想力と実現可能性が高く評価された。

 

 特別審査委員の池上彰氏は、「どの作品も未来の危機感を共有していた。このままでいく私たちの将来はどうなるのかを真剣に考え、提案してくれてうれしい」と全体の講評を述べた。

最終審査に残った入賞者ら。前列中央が高校生の部対象の森田輝さん。後列左から2人目が中吉聖仁さん、3人目が是石弘基さん
(2019年12月24日 10:09)
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