高校生を海外に派遣して三菱商事のプロジェクト現場や現地の人たちとの交流を通じて学んだことを読売新聞紙上などで発信する「第12回海外プロジェクト探検隊」(主催・読売新聞社、特別協賛・三菱商事)が2015年7~8月、実施された。今回は海外ツアーに加え、東日本大震災の被災地である宮城、岩手を巡るツアーも組まれ、東京、神奈川、宮城の1都2県から6人がメンバーとして参加した。
探検隊プログラムの一環として、復興庁の小泉進次郎・復興大臣政務官(当時)との意見交換会が実現。被災地訪問で防災と復興への意識を高めたメンバー5人が9月、復興庁に小泉氏を訪ね、約1時間、震災と復興をテーマに話し合った。上京できなかった佐藤千夏さん(宮城県気仙沼高校2年)も学校からテレビスクリーンを通じて参加した。
意見交換会の冒頭、太田直希君(宮城県仙台第二高校2年)が総括意見を述べた。仙台市出身の太田君は東日本大震災の大きな揺れを小学校6年生の時に体験しているが、津波被害を受けた被災地へ足を踏み入れたのは、今回が初めて。
復興への思いを込めて「被災者、遺族の悲しみは癒えることなく、絶望のふちでもがき苦しむ人もまだ多くいる。百聞は一見に如かず、というが、災害の経験を風化させないため、また教訓として活かし続けるため、多くの人々に実際に足を運んでみてもらうことが震災と復興への理解につながるのだと感じた」などと話した。
メンバーは最大の関心事であった風化対策を始め、命を守る教育の推進、復興のあり方などについて、意見や質問を小泉氏にぶつけた。
小泉氏は「風化を嘆いてもしょうがない。震災復興に関わる人は風化を気にせず、1人になっても最後までやるという気持ちでやればいい。ただ、全国にはそういう人が多くいるから、しっかりと思いを共有してやっていけばいい」などと述べるとともに、防災教育について「自分の命は自分で守る。この精神がないところで防災教育をやってもだめ。危機感を持って普段から行動してほしい」などと訴えた。
また「皆さんは被災地を見たのだから、今度は次の行動を考えて。次の被災地は必ず生まれる。自分が被災者になった時、自分の街が被災地となった時、自分が何をするのか考えて欲しい」と呼びかけた。
★第12回海外プロジェクト探検隊参加者
渡辺啓介君(都立日比谷高校2年)
田辺雄斗君(桐蔭学園中等教育学校5年)
太田直希君(宮城県仙台第二高校2年)
酒井恵理香さん(渋谷教育学園渋谷高校2年)
佐藤千夏さん(宮城県気仙沼高校2年)
川内彩可さん(都立戸山高校2年)