2030 SDGsチャレンジ

環境大臣賞に宮城県農業高《全国ユース環境発表大会》

 

 高校生が斬新な視点で環境保全や地域創生に取り組む「全国ユース環境活動発表大会」(主催=環境省、環境再生保全機構、国連大学サステイナビリティ高等研究所、後援=読売新聞社)の全国大会審査が行われ、宮城県農業高が環境大臣賞、愛媛県立長浜高が読売新聞社賞に輝いた。環境省が2月5日、発表した。

 6回目となる今回の大会は、北海道から九州・沖縄まで8地方大会に高校生による87団体が応募した。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、活動内容をまとめた各動画について、専門家らによる審査と参加生徒による投票がオンライン上で行われ、2団体ずつ計16団体が全国大会に進出。全国大会の審査は2月3日、オンラインで行われた。

 

 環境大臣賞の宮城県農高は2011年3月、東日本大震災による津波に校舎が襲われた。その科学部チームsmilesは津波被害を抑えるため、沿岸などに植える桜の新品種を開発。メンバーは代々、増殖と植栽を繰り返して震災10年目の2020年、まもなく1000本に達するところまできた。地区名から1字をもらって「玉夢桜(タマユメザクラ)」と命名した桜は、「日本花の会」に新品種として認定された。審査では、復興にかける生徒たちの強い思いと、この品種が沿岸部の塩害に強く、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の吸収量も高いことなどが評価された。

桜でCO2の大幅削減を発信中!(宮城県農高提供)

 読売新聞社賞に輝いた愛媛県立長浜高は校内に高校として日本初となる水族館を作っている。教室や玄関などに約100個の水槽があり、県南部の宇和海や沖縄の魚など約150種2000点を一般公開。今年で22年目を迎え、街おこしにつなげていることが高く評価された。

私たち水族館部がご案内します!(愛媛県立長浜高提供)

 環境再生保全機構理事長賞に選ばれた長崎県立諫早農業高は、規格外ミカンを地元の伝統菓子である「おこし」に活用して商品化。焼却するしかなかった果皮は菌床栽培に応用できることを突き止め、特許も取得した。国連大学サステイナビリティ高等研究所長賞の富山県立滑川高はホタルイカと混獲されているイワシを有効利用しようと缶詰に。その際に出た残渣は肥料にして植林活動に使った。

 このほか、青森県立むつ工業高は地中熱で融雪する試みが参加高校生による投票の結果、高校生選考賞を射止めた。長野県長野高・長野日本大学高はゲーム感覚でゴミ拾いをする手法が教師の投票で、先生選考賞を獲得した。全国大会出場校のうち、残り10校には優秀賞が贈られた。


(2021年2月 9日 14:40)
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