2030 SDGsチャレンジ

地域とつながり 子ども食堂(東京・江東区「たかもり食堂」)

カレーを食べる参加者

 

コロナ禍「第3の居場所」に

 

 子どもたちに無料や低額で食事を提供する子ども食堂が各地で増えている。NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」などの調査によると、子ども食堂は全国で7331か所と前年比で2割超増えた。コロナ禍、物価高を背景に今後も増えていく見通しで、各地の子ども食堂には多くのボランティアが集まり、食事の提供だけではなく、様々な支援が行われている。各地の子ども食堂の現場を紹介する。
 

 東京都江東区森下の高森地区集会所では今年6月、都内の児童相談所で支援員として働く新藤優美さん(42)と近くでカレー店を営む小林幸太さん(44)らが子どもたちを対象にした「たかもり食堂」を始めた。子どもたちが集まりやすいように、食堂を開くのは月1回、第3土曜日とした。
 近くにあるケイ・インターナショナルスクールの生徒のほか、近隣住民がボランティアとして参加し、今では10人近いスタッフで運営し、多いときは約80人が利用している。
 

 新藤さんは荒川区出身で、周りには暴走族に入ったり問題のある子どもたちが多かった。「生まれつき悪い子なんていない。周りの環境がそうさせている」と感じていたという。短大を出て就職、結婚したが、子育てを経験して再度、通信教育で社会福祉士の資格を取得した。今は子育てに悩むお母さんの悩みなどを聞く仕事をしている。

 

 12月17日のたかもり食堂には、住民らが持ち寄ったホウレンソウを使った本格的なカレーが振る舞われた。小林さんは午前9時から、直径約50センチもある大きな鍋を使って仕込みをした。「子どもたちが食事をしながら、いろんな人とつながることができる場所を作りたかった」と食堂設立の経緯を語る。
 

 当初から利用している小学校5年の女の子は「ここには友達と一緒に来る。気軽に立ち寄れて話もできる」と笑顔で話す。ボランティアの高校2年、黒井一樹さん(16)も「横のつながりができて楽しい」と感想を漏らした。
 多くの人に運営に携わってもらい、学校や家庭以外の第3の居場所としてくつろいでもらう場所にしていく考えだ。

 食堂で提供するメニューはカレーライスや炊き込みご飯など。料金は子ども(18歳未満)は無料、大人(子どもの同伴者に限る)は300円。食料などの提供はこちら

  

※全国こども食堂支援センター・むすびえの資料より作成

(2022年12月20日 12:52)
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