2030 SDGsチャレンジ

放置竹林の解決策提案 長崎・諫早農高

全国ユース環境活動発表大会@九州・沖縄

 

粉末 キノコ栽培の栄養に

 高校生が新たな視点で環境保全や地域創生に取り組む2020年の「全国ユース環境活動発表大会」(主催=環境省、環境再生保全機構など、後援=読売新聞社)で、長崎県立諫早農業高が2月8、9日に東京で開かれる全国大会に出場する。全国各地で問題になっている放置竹林の解決をテーマに研究に取り組んだ食品科学部の部員たちは「最高賞を目指して自信を持って臨む」と意気込んでいる。

 

 部員たちは2017年度から、竹を細かく砕いたパウダーを利用する方法の研究を始めた。成分を調べるとカリウムやカルシウムが含まれており、授業で取り組んでいたシイタケの菌床栽培で栄養分として用いる米ぬかに似ていることがわかった。

 

 17、18年度は学校で試験栽培。竹のパウダーを用いると、カビの発生がほぼ抑えられ、育つスピードや品質にも問題がないことが判明。19年度に地元の農家の農園の一角を借りて実証栽培したところ、最初は半信半疑だった農家も成功に驚いていたという。

 

 また、マイタケやキクラゲの試験栽培でも栄養分として使えることが確認できたとして、竹の利用方法として確立されれば、放置竹林の管理や伐採が進み、問題を解決する糸口になるのではないかと提案している。

 

 現在の部員は1〜3年生の男女20人。顧問の本村宏教諭(56)は「カビを抑えられたのは竹の抗菌作用ではないかと推測している。休日も当番を決めて世話をするなど、毎日根気強く作業を積み重ねた取り組みは素晴らしかった」と部員の姿勢をたたえる。

 

 部長の2年、松尾歩香(あゆか)さん(17)は「失敗の連続だったので、育ったときは本当にうれしかった。放置竹林問題を知らない人もいると思うので、多くの人に関心を持ってもらいたい。全国大会では気持ちを込めて発表して問題意識を伝える」と話した。1年の渡辺梓月(しづき)さん(16)は「育った時は研究がさらに広がる手応えを感じた。将来、この研究が広まって放置竹林問題の解決につながれば。全国大会に出場できるのは先生や農家の方々らのおかげ。結果で恩返ししたい」と張り切っている。


(2020年1月16日 09:00)
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