「マイ盆栽」育て20年 地域の伝統PR(さいたま市立植竹小学校)


![]()
![]()
![]()
さいたま市北区の市立植竹小学校では、児童が高学年になると一人一鉢の「マイ盆栽」を持つ。学区内に日本有数の産地「大宮盆栽村」がある縁で始まり、今年で20年となった。卒業後も家庭で大切に育て続け、伝統産業のPRに貢献している。
歴代の児童から「技」を受け継ぐ
初夏。6年生が校舎2階のテラスで育てる盆栽が成長期を迎え、新芽が青々と伸びる季節になった。盆栽委員会の児童が一鉢一鉢を手に取り、180度回して置き直した。
「なぜ、鉢の向きを変えるのかわかるかな?」
菊池健一教諭が尋ねると、「盆栽全体に日光をたっぷり当てるためです」と元気な声が返ってきた。
植竹小では例年、5年生が10月に苗を植え、卒業までの1年半は盆栽委員を中心に自分たちで手入れを担う。育てているのは「真柏」というヒノキ科の針葉樹。日当たりが不足すると枝葉の伸びや色が悪くなるため、鉢の向きを時々変える必要がある。

季節に応じた育て方は、歴代の児童が調べて実践した内容をポスターにして、下の学年へ受け継いでいる。盆栽委員の松本円奏さん(6年)は「入学した頃から盆栽を育てるのを楽しみにしていた。難しいけど、やりがいがあると伝えていきたい」と話す。
卒業後も大切に、自分と一緒に成長
盆栽づくりは2006年、植竹小の卒業生で盆栽業「清香園」の5代目、山田香織さんらの提案で始まった。現在は卒業生とその保護者が在校生の指南役となり、地域での普及を担う活動へと発展している。
山田さんが毎年、植竹小の高学年を対象に行う盆栽教室には、卒業生や保護者が「マイ盆栽」を持って参加する。手のひらに収まる小さな苗が何年もかけて枝を広げ、立派に育った様子を見て、児童は「自分たちも大切にする」と決意する。
5月の連休に市内で開かれた「大盆栽まつり」には、在校生の盆栽が出品された。案内役は、卒業生らでつくる「盆栽ジュニア」の水谷右京さんが務めた。
「えっ、この盆栽、小学生が育てているの?」
観光客が驚いた様子で尋ねると、水谷さんが答えた。「5~6年生が毎年育てて一緒に卒業し、その後も自宅でずっと育てます。盆栽も自分と一緒に成長していくんです」
「20代目」にあたる6年生の盆栽委員は、自分たちの盆栽や学習の成果をまとめたポスターを「多くの人に見てもらう機会をつくりたい」と考え、20周年記念の行事を計画している。地域住民を招いた展示会などで、盆栽の魅力を発信する予定だ。
一鉢の中に日本の四季や美意識を表現し、海外からも注目される「BONSAI」。山田さんは「幼い頃から自分の手で育てることで、地域の文化を自分の言葉で語れるようになる。日本の伝統を受け継ぎ、世界へ発信していく上で、その経験が大きな強みになるはず」と期待する。




