【高円宮杯】第66回大会 上位3人が英国研修

三菱商事のロンドン・オフィスで同社スタッフと鈴木健斗君(右から3人目)、尾島百合子さん(同5人目)、吉村わかばさん(左から2人目)

 2014年12月の第66回高円宮杯全日本中学校英語弁論大会で1~3位に入賞した3人が、7月28日から8月11日の日程で、英・イーストサセックス州にあるバックスモア・プランプトン・カレッジで英語の特訓プログラムを終えた。3人はプログラム終了後、読売新聞欧州総局、三菱商事ロンドン・オフィスを訪問、大英博物館見学後帰路に着き、8月14日帰国した。「とても有意義な体験だった」と3人は研修を振り返っていた。

(吉村わかば・日本学生協会(JNSA)基金運営委員長)

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2週間「有意義な体験」

 この研修は、英語弁論大会に協賛している三菱商事からの副賞として毎年行われており、今回は、広島学院高校(広島市)1年の鈴木健斗君(16)、栄光学園高校(神奈川県鎌倉市)1年の中嶋勇太君(16)、金城学院高校(名古屋市)1年の尾島百合子さん(15)の3人が参加した。

週末にクラスメートたちとバッキンガム宮殿を訪れた

 3人は、フランスや中国など世界各地から集まった約50人の9歳から17歳の若者たちと合宿生活を送りながら、教室での英語の授業のほか、博物館や近郊の街巡り、ボウリング大会といった課外活動を通じて本場の英語に触れ、仲間たちとの親睦を深めた。

 主なプログラムは、午前中はクラスに分かれて語彙や文法など英語の学習、午後はスポーツやゲームなどのアクティビティーで、週末はカンタベリーやロンドンで課外活動に励んだ。また、海やプールに行ったり、キャンプファイアをしたりと、イギリスの夏を楽しんだ。

 

■ 鈴木君 「文化や歴史も学べた」 

 鈴木君は、「英語だけでなく、英国の文化や歴史も学べる質の高い授業だった」と感銘を受けた様子。英語の勉強の仕方一つとっても、ただプリントと向き合うのではなく、ゲームを通して学んだり、クラスメートと意見を出し合ったりと、いろいろなアプローチの仕方があることを学んだという。さらに、様々な国の若者と交流する中で、英語をツールの一つと捉えるようになり、さらに英語以外の外国語に対する関心も強く持つようになったという。

 

■ 中嶋君 「自然になじむことができた」

 中嶋君は、当初は初めて会う人々と英語で過ごすことにとても不安を感じていたという。しかし、午前中のクラスを中心に心を開ける友達を見つけることができた。勉強面でもアクティビティー面でも様々な経験をすることができ、有意義な二週間だったと振り返り、「英語しか通じない環境だったが、クイズ形式の授業やレクリエーションは楽しく、自然になじむことができた」と強調した。

 

■ 尾島さん 「親しい友人ができた」 

 一方、2020年東京五輪・パラリンピックで通訳のボランティアになることを目標に英語学習に励んでいる、という尾島さんは、「外国人のクラスメートが積極的に発言する姿に、いい刺激を受けた」と言い、2週間の研修では、積極的に英語で話しかけるうちに親しい友人ができ、別れてからも連絡を取り合うほどの仲になった、とうれしそうだった。

 

三菱商事、読売新聞の支局も訪問

研修後、ロンドン市内で観光を楽しむ3人

 2週間のバックスモア・プランプトン・カレッジでの研修後、3人はロンドンで、読売新聞ロンドン支局、三菱商事ロンドン・オフィスを訪問、三菱商事が後援している大英博物館の常設展示「日本ギャラリー」などを見て回った。2週間の授業のあとのロンドンでの経験は、自分たちの英語力を試す機会ともなった。英国は日本と同じ島国でありながら、日本よりも多様な人種が住んでいて、あらゆるところで様々な言語が飛び交っており、国際化が進んでいることを感じたという。

 三菱商事のロンドン・オフィスでは、欧州・アフリカの事業を統括しているという商社の仕事に関心を深めたようで、CSR推進部マネジャー、ジェイムズ・ゴムさんに「入社後、三菱商事のロンドンで働くためには、どうしたらいいか」と質問。ゴムさんからは「キャリアを積んでいく中で海外で働くチャンスが巡ってくるということではないでしょうか」と説明を受け、うなずいていた。

 読売新聞のロンドン支局では、森太欧州総局長と1時間半にわたり、研修の様子などを話し合った。

 大英博物館では、キュレーターに日本の展示を案内してもらったが、一つの国で先史時代から現代までを通して展示されているのは日本だけ、などという説明に熱心に聞き入っていた。同時に、展示を見て、日本の歴史や文化に関する知識がまだまだ足りないことも痛感したという。

 3人とも異口同音に「あと1週間はここにいたい」と、ロンドンを立ち去りがたい様子だったが、帰国後は英語だけでなく、世界史や他国の文化、そして自国への理解も深めたいと力強く話していた。

 

(2015年9月17日 09:00)
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