高円宮杯 第73回 全日本中学校英語弁論大会 上位入賞者とスピーチ全文

スクリーンに映る1位となった鄭さんに、高円宮杯をかかげられる久子さま(東京・有楽町のよみうりホールで)=青山謙太郎撮影

 高円宮杯第73回全日本中学校英語弁論大会の決勝大会が2021年11月26日、大会名誉総裁の高円宮妃久子さまをお迎えして東京都千代田区のよみうりホールで開かれ、各賞が決まりました。大会は事前収録したスピーチ動画を会場で審査する形式で行われました。上位入賞者は以下の方々です。クリックでスピーチ全文をご覧いただけます。(敬称略)

>>大会ウェブサイト

 

上位入賞者

1位 鄭世希(チョンセヒ)さん(ワールド・ファミリー賞も受賞)

広島県・広島女学院中3年

「Say My Name(私の名前を言う)」

 

2位 大鶴 ゆりこ さん

兵庫県・小林聖心女子学院中3年

「Big You, Small I(思いやりを第一に)」

 

3位 坂本 葵 さん

大阪府・大阪市立咲くやこの花中3年

「For the Happiness of Animals(動物の幸せのために)」

 

4位 岩佐 理立(りた)さん

東京都・東京学芸大付属世田谷中3年

「Finally Me(私らしさを求めて)」

 

5位 森本 安音 さん

大阪府・梅花中3年

「The Amazing Power of Song(歌の驚くべき力)」

 

6位 駄場 早優美 さん

高知県・土佐中3年

「Deciding on Our Own Future(将来の展望)」

 

7位 関根 凛咲 さん

北海道・遺愛女子中3年

「If Not Today, Then When?(先生が最後に教えてくれたこと)」

 

1位の鄭さんのスピーチを解説

 心に響く弁論とはどんなものなのか。今大会1位の鄭さんのスピーチ英文を東進ハイスクール・東進衛星予備校の英語科講師・大岩秀樹さんが解説した。


 

◆中学で学ぶ文法全て駆使 豊かな表現で単調さを回避

 スピーチ冒頭では、ありふれた質問「What's your name?」に対し、「42万人の在日韓国人にとっては、そんな簡単な質問ではありません(it's not such a simple question)」と言い切ることで聞き手をひきつけます。

 その直後に祖父や父親世代の韓国人は差別のために、本名を隠して日本式の名前を使わざるを得なかったことを述べ、より印象深くメッセージが伝わる組み立てになっています。

 後半で「What's your name?」を再度使用し、直後に韓国語で自分の名前を伝えることで祖父や父親世代が日本式の名前を使っていたこととの対比となり、差別はなくしていかなければならないという強い思いを伝えています。

 そして、「I represent Korea, the country I was born to, and Japan, the country I was born in.」(私が生まれた国である韓国と、私が生まれた国である日本を代表しています)では、「be born to~(~を親として生まれる)」「be born in~(~で生まれる)」のニュアンスの違いを生かし、両国とも大切な母国であることを伝えることで、この問題を解決する大切さを訴えています。

 スピーチは中学で習うほぼ全ての英文法が使われており、表現に偏りがありません。豊かな表現で単調さを回避し、完成度を高めています。

おおいわ・ひでき

東進ハイスクール・東進衛星予備校英語科講師。高校生だけでなく、中学生から社会人までの講座を担当。大学入試にとどまらない英語指導に定評がある。著書は「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】」など40冊以上。

 

【主催】読売新聞社、日本学生協会基金

【後援】外務省、文部科学省、都道府県教育委員会ほか

【特別協賛】東進ハイスクール・東進衛星予備校

【協賛】日本テレビ放送網、ぺんてる、ワールド・ファミリーほか

 

(2022年1月21日 12:16)
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