オンライン新聞記事データベースを活用する 第9回「よみうりNIE交流会」

 新聞活用学習(NIE=Newspaper In Education)について小中高校の先生や学校司書らが学び合う第9回「よみうりNIE交流会」が10月23日、オンラインで開かれた。15人がウェブ会議システムで参加し、オンライン新聞記事データベースについての講演や、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の実践紹介に耳を傾けた。また、オンライン新聞記事データベースは、希望した方々に1か月間、無料トライアルを提供した。

 

講演「学校現場と読売新聞データベース」

▽栗山倫子・読売新聞東京本社メディア局事業部主任


 読売新聞は紙の新聞だけでなく、「読売新聞オンライン」というウェブサイトでも読者に記事を提供している。新聞を購読すれば、IDとパスワードが交付されて読者会員となり、追加料金なしにパソコンやスマートフォンでも紙面と同じ記事を読める。こうしたネット用の記事を日々更新したり、「スマートニュース」や「Yahoo!ニュース」などにニュースを配信したりするのが、私の所属するメディア局の仕事だ。

 読売新聞では、「ヨミダス歴史館」「ヨミダスforスクール」「ヨミダスパーソナル」「Japan News Digital Archive」などの記事データベースを有料で提供している。

 「ヨミダス歴史館」は1874年(明治7年)の創刊以来147年分、1,400万件以上の記事をネットで読むことができる。主に公立図書館や大学などに販売している。キーワードで記事を検索できるだけでなく、いま話題となっているニュースのキーワードを「トピック」としてトップページにまとめている。例えば「新型コロナウイルス」をクリックすれば、関連記事を読めるようにしてある。

 主に小・中・高校向けに販売しているのが「ヨミダスforスクール」だ。現代社会を知るための教材、ディベートの資料集めなどに活用され、首都圏を中心に100校以上が導入している。社説など、読売新聞の日本語記事と、読売新聞の英字紙ジャパン・ニューズの英文記事がリンクしており、クリックひとつで日本語と英文を切り替えられるのが特徴だ。

 「ヨミダスパーソナル」は個人向け、「Japan News Digital Archive」はジャパン・ニューズのデータベースだ。

 授業でデータベースを活用した実践例をいくつか紹介したい。中学の国語で「情報の比較」をテーマにした授業があった。生徒は同じニュースをネット検索とデータベースでそれぞれ調べ、そこから分かったことをまとめた。ネットには発信元不明の情報がたくさんあり、どれが正しいのかを検証するのは難しい。一方、新聞は記者の取材に基づいた記事や論評で構成されており、情報源として有効だ。先生からは「教室で安心して使えるのはデータベースだ」との評価をいただいた。

 「伝える技術の基本を確認」をテーマにした中学社会科の授業も紹介したい。弥生時代について検索し、邪馬台国論争の様々な記事を読んだ生徒たちは、邪馬台国の場所が分かっておらず、「教科書に出ていることであっても暫定的な解に過ぎない」と気づいたという。

 児童・生徒に一人1台ずつパソコン・タブレット端末を配備する「GIGAスクール構想」の実施が本格的に始まり、デジタル記事を活用したいという先生方も多いかもしれない。参考にしていただければ幸いだ。

 

NIEのねたのたね

▽田中孝宏・読売新聞教育ネットワークアドバイザー


 東京・小金井市にある武蔵野東中学校が、今年度から全校あげてSDGsに取り組むことになり、「SDGs Day」を設けた。講師として招かれたので、その話をしたい。

 同中では特色ある授業として「探求科」を設けている。1年の6月に自分でテーマを決め、2年の終わりにかけて探究を深めていく。ゼミのようなもので、最後はみんなの前でプレゼンテーションを行う。

 例えば、「資源の活用とエネルギー」をテーマにしたある2年生は、家庭ごみから災害用燃料を作れないかと考えた。感心したのは実験を重ね、その結果をデータとして数値化し、上手に発表用スライドにしていたことだ。コーヒーかすや鉛筆などを燃やし、コーヒーは高温を保つ時間が長いということをグラフにして示した。その上で、身近な廃棄物から災害用燃料はできるという結論を導き出した。

 SDGs Dayは全校でSDGsについて学び、考える日にしようと、生徒たちが中心となって企画・準備を進めたものだ。生徒たちは、環境を守る取り組みや動物保護、貧困対策などを行っている企業が作った商品を選んで買う「エシカル(倫理的)消費」について、調べてきたことを発表。私は「『じぶんごと』からはじめよう」をテーマに、全学年で講演した。

 2年生はスピーチを行ったが、1年生はまず身近な問題について、自分に何ができるかを「じぶんごと」として考え、実行してみることから始めた。

 ある生徒は節水に挑戦した。一日一人当たり186リットルの水を使うと言われているが、シャワーや歯磨き、食器洗いなどでそれぞれ1分間の節水をした結果、一人で一日84リットルの節水ができた。節水によって水の有効利用ができ、下水処理場で使われるエネルギーの削減やCO2の排出削減につながると感じたという。こういう身近なところからSDGsの学習は始められるということを知ってほしくて紹介した。

*  *  *

 今回も「NIEのねたのたね」と題して、授業で活用できそうな記事を紹介したい。

 9月6日の読売新聞朝刊。「壁越え輝いた」の見出しで、東京パラリンピックで躍動したメダリストが残した言葉を集めた。「全く違う道を歩むことになったけど、自分が障害を負った意味は、この瞬間にあったのかな」など、子どもたちの胸に響くだろう一言がいくつも紹介されている。一つひとつの言葉を取り上げて授業ができるのではないかと思う。

 

※次回の交流会は11月27日(土)に開催します。詳細は>>こちら

 

(2021年11月16日 16:03)
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