第11回 日本語大賞 文部科学大臣賞 受賞作品(全文)

 NPO法人・日本語検定委員会による第11回「日本語大賞」(読売新聞社など協賛)の入選作のうち、小学生、中学生、高校生、一般各部の文部科学大臣賞受賞作品の全文を紹介します。※敬称略

 

■小学生の部

あなたを思う気持ち

川澄 美紅(かわすみ・みく)

シアトル日本語補習学校 小学六年

 私は、アニメ「名探偵コナン」を毎週観ています。アメリカに住んでいるので、動画は英語字幕付きになっています。字幕を読まなくても意味はわかります。しかし、時々、下の方の字幕に目をやると「英語の訳文が変だな。」と思うことがあります。

 それは、あいさつの場面です。


 

■中学生の部

「虫」だっていいじゃない

南雲 円香(なぐも・まどか)

静岡大学教育学部附属静岡中学校三年

 私は知ることが好きだ。知らないことを学んだり、それに対する考察をしたりすると自分の世界が広がった気がして嬉しくなる。だから勉強も苦ではない。しかし、「勉強が楽しい。」なんて大きな声では言えないし、クラスメートの前で授業内容以外の勉強をする姿を見せるのは、少しはばかられる。それはなぜか。「カッコ悪い」からだ。ただでさえ眼鏡をかけた私は「真面目」というレッテルを貼られやすい。できれば、これ以上優等生のようなイメージはつくりたくない。勉強関連の本などは、友達と会うことが少ない電車の中で読んでいる。


 

■高校生の部

柔らかくて温かい言葉

ミノヴィッチ たまら

東京都立広尾高等学校二年

 私の父はセルビア人です。三十年前に国費留学生として来日し、今では日本語の新聞を読み、日本語での会話や読み書きに困ることはほとんどありません。日本での生活の中で自分の知らない漢字や言葉に出会うと辞書で調べたり、ノートに書き記したりすることも変わらず続けていて、現役の学生である姉や私よりも日本語の勉強に熱心です。ヨーロッパ出身者には2~3ヶ国の言語を話せる人は珍しくはないと聞きますが、マルチリンガルの父は日本の言葉が美しく興味深いと言います。


 

■一般の部

ひとひら ふたひら

星野 有加里(ほしの・ゆかり)

(静岡県)

「句読点忘れは減点! 文章の最後にはちゃんとマルをつけなさいって、三年間ずっと注意してきたでしょ?なのに、高校最後のテストでまた同じミスを繰り返して!」

 私は呆れ果てながら尾崎さんに答案用紙を返却した。今日もまた昼休みになってから重役出勤宜しく登校してきた彼女に、放課後を待って職員室でテストを手渡した。


 

(2020年2月20日 04:00)
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