コロナ乗り越え 節目の定期演奏会に ~ 明治大学交響楽団100周年

 

 キャンパス・スコープ47号のテーマは「Re:START」。困難を乗り越えて再出発を目指す大学生たちの姿を取材しました。1923年6月に第1回定期演奏会が行われて以来、100年間に渡って活動を続ける明治大学交響楽団(明オケ)も、コロナ禍で大きな打撃を受けました。47号には載せられませんでしたが、12月に行われる節目の定期演奏会に向けて準備に励む団員たちの思いを取材しました。

(上智大学・津田凜太郎) 

OB・OG2000名超

 

 明オケは1923年、卒業生のバイオリン奏者・尾原勝吉氏によって組織されました。団員は2023年現在で約200名。OB・OG も2000名を超えます。

 

 「今年の意気込みは格別です」。

 

 幹事長の潮田駿さんが話してくれました。現在の3年生が入学した21年は、6月の演奏会が感染拡大で延期の末に中止。練習を重ね、会場や大学との折衝を続けてきた先輩たちの無念を目の当たりにしました。その後、活動は少しずつ正常化していきましたが、観客席の距離を保つなど、コロナ禍の活動は、演奏以外の部分で気を遣う部分が多かったそうです。コロナ禍で途切れた合宿などの行事の再開も手探りの運営でした。そんな日々を支えたのは、音楽にかける団員たちの思い。「みんなの仲の良さと、音楽をやりたいという気持ちで乗り切れました」と、広報の安藤玲さんが振り返ります。

 

 

 12月28日に行われる第100回の定期演奏会。各楽器のセクションリーダーたちによって選び抜かれたのは、ショスタコーヴィチの「祝典序曲」、チャイコフスキーのバレエ組曲「白鳥の湖」、ラフマニノフの「交響曲第2番」の3曲。なかでも「交響曲第2番」は、目まぐるしく変化する展開、楽章によって揺れ動くテンポ特徴的な、至難の1曲です。9月には3泊4日の合宿で、NHK交響楽団や神奈川フィルハーモニー管弦楽団で活躍するプロの演奏家から指導を受けた団員たち。コンサートミストレスの安達由愛生さんも、「聴きごたえのある曲目になっています」と力を込めます。

 

丁寧なバックアップ 初心者も安心

 

 5歳からバイオリンを始めた人もいれば、大学生まで音楽経験がない人もいて、団員たちの音楽経験は様々。だからこそ、「バックアップは万全」と内務の鯨岡美音さんが胸を張ります。プロの演奏家やOB・OGが一人一人の音楽経験に合わせて丁寧な指導にあたります。常任指揮者もあえて置かず、毎回の演奏会で違う指揮者と演奏することで、新鮮な気持ちで様々な音楽に触れることを大切にしているそうです。

 

 

 「信頼できる仲間がいて、音楽を共に作り上げたい仲間がいた」と潮田さん。12月の演奏会は、新たな100年に向けてのリスタートになることでしょう。

 

(2023年10月17日 07:00)
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