過去に例のない豪雨災害の頻発など、気候変動により私たちの暮らしは様々な影響を受けている。地球規模の問題を「じぶんごと」としてとらえ、立ち向かっていくためにも、私たち自身が身近な自然を守ることから始めていくことが必要だ。地域と連携しながら環境保全に取り組む大学生たちに話を聞いた。(法政大学・高山美悠、写真は法政大学・嘉藤大太撮影)
「宍塚大池」の保全活動
「現地の人たちの温かさも里山保全活動の魅力のひとつですね」。
法政大学で環境保全活動に取り組むサークル「キャンパス・エコロジー・フォーラム」(キャンエコ)の斎藤総一郎さんが話してくれた。茨城県土浦市にある「宍塚大池」の保全活動に取り組む認定NPO法人「宍塚の自然と歴史の会」とコラボしての活動は、2002年に始まった。
「他にも抜いてもよい植物はないですか?」「若者の力は偉大ですね」。7月24日に現地で行われた活動。29人の大学生たちは、「宍塚の自然と歴史の会」のメンバーと協力しながら、外来種のセイタカアワダチソウの抜き取りや、里山マップづくりなどに取り組んだ。
体験が大切
「里山に来てもらい、体験してもらうことが大切」。同会理事長の森本信生さんが話してくれた。1989年9月に結成された会は、「田んぼの学校」や「里山こども探偵団」などの活動を通して、「持続的に生きる」ことを考えてもらうことを目指している。会員は幼児から社会人まで約400人。
宍塚大池は、堤防以外の人工的な護岸工事が行われていないため、独立した水域と豊かな植生を持つのが特徴だ。生物多様性に富み、絶滅危惧植物のオニバスの太平洋岸の北限となっていること
を生かそうと、会では、自然公園などの利用法を提案していくことを目指している。会員の1人が法政大学に社会人入学した縁で、キャンエコも活動に関わるようになった。
若い力は大きな力
「キャンエコの学生にも学びと楽しさがあって、里山も保全できるようにしていければ」と森本さん。「月に1度でも、若い力は地方の里山にとって大きな力」と期待を込める。SDGsは世界を俯瞰する地図。私たち大学生自身が、自分が世界の地図のどこにいるのかという意識を持ち、実践を通して世界を変えていくことが求められている、と感じた。
宍塚大池(ししつかおおいけ)
茨城県土浦市宍塚にある農業用のため池。最大深度1.8m、広さ約3.5ha。流入河川はなく、約60haの集水域の雨水や湧き水が水源となっている。2010年には農林水産省の「ため池百選」に選ばれるなど、生物多様性に富む。近年はブルーギルやアメリカザリガニなどの外来種によって生物多様性の保全が危ぶまれている。
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