レソト→ポーランド→そしてレソト ~ キャンスコ46号から

 「戦争が終わったら、ウクライナに来てね」。高校生の言葉が頭から離れない。2022年6月に、ポーランドでウクライナ難民支援のボランティアに参加した千葉大学4年の渡辺莉瑚さんは、困難な状況の中でも前向きな気持ちを失わない強さに心を打たれたという。(法政大学・坂爪香穂、写真は渡辺さん提供) 

 

「無関心になってはいけない」

 以前から、アフリカ・レソト王国で教育格差解消のプログラムに携わっていた渡辺さん。ウクライナ侵攻のニュースに日々接する中で、居ても立っても居られず、日本財団ボランティアセンターの主催するボランティアに応募した。

 

 ポーランドへと避難してきた子供たちと一緒に遊んだり、施設の清掃に取り組んだりしながら、多くの避難民と接した。ひとりひとりが今まで歩んできた生活やストーリーを思うと、胸が痛むとともに、「無関心になってはいけない」と強く感じたという。

 

 「祖国に貢献できるような仕事をしたい」「心理学を専攻しているので子供たちのメンタルヘルスに関する仕事をしたい」----。困難な状況の中で、国の未来を思う同世代の姿にも感銘を受けた。自身が今まで取り組んできたレソトでの活動を振り返り、「世界にはニュースにすら取り上げてもらえない社会問題がたくさんあるということも忘れてはいけない」と改めて思ったという。

 

アフリカの現実、知ってほしい

 ポーランドからの帰国後、休む間もなく8月にレソトに渡った。
 2020年から取り組んでいる活動の柱は、コミュニティーラーニングセンターの建設と、キッズフォトグラファープロジェクトの二つ。
 
「コミュニティーラーニングセンター」の活動では、子供たちへの学校教育や、大人へ向けてのスキルトレーニングを行うなど幅広い用途で使用できるような施設の建設を目指す。渡辺さんはクラウドファンディングなどを通じた資金調達に関わった。

 

 

「キッズフォトグラファープロジェクト」は現地の子供たちにカメラを渡し、子供たちが写真を撮ることを通して、新しい発見をしたり、自分の生活を見つめなおしたりすることを促す。子供たちが、渡辺さんのスマホで楽しそうに写真を撮る姿を見たことと、映画「未来を写した子どもたち」から着想を得た活動だ。

 

 レソトの子供たちは、教育を受けたり、カメラを手に入れたりという機会が少ないだけで、決して能力が劣っているわけではない。渡辺さんは、「日本の同世代にもこの現実を知ってほしい」と訴える。

 

問題を知り、行動する

 コロナ禍もあり、なかなか行動に踏み出すことができない大学生も多い。渡辺さんは「楽しいことや興味があることにただ突き進んでいっただけ。少しでも行きたいところ、やりたいことがあったら勇気を出して挑戦してほしい」と笑う。夢は、プロジェクトが「レソトの人たちだけで回る仕組みをつくること」。

 

 世界の様々な問題を知り、自分のできる範囲で活動する。渡辺さんの行動は、その大切さを私たちに教えてくれる。

 

 

 キャンスコ46号を読んで、感想を教えてください。抽選でAmazonギフト券が当たるチャンス。Webも読めばさらにチャンスが広がります。キャンスコ46号が手元になくても、Webコンテンツを読めば、アンケートに応募できます。

⇩回答はこちらから⇩  

 

 

 

(2022年11月18日 11:18)
TOP