59. 災害への備え 思い共有
法政大学3年・鈴木さりな
4月3日の午前、大学に向かう電車の中で何気なくスマホを開くと「台湾で地震」というニュースの見出しが目に留まりました。ひと月ほど前に訪れたばかりの場所で起きた災害に、他人事とは思えませんでした。
春休みの2月23日から25日にかけて、観光で台湾を訪れました。私が降り立った松山空港から台北市内に向かう途中に目にした高速道路やビル、マンションが立ち並ぶ風景は、海外に来ていることを感じさせないほど、日本と似通っていました。以前は日本の統治下にあったこともあったこともあるのでしょう。「近代化の過程では、日本の影響が強く残っている」というバスガイドの説明に、歩んできた歴史の重みを感じました。地震のニュースを受けて調べてみると、台北市の最大震度は5弱。それでも、私が訪れた百貨店では窓ガラスが割れるなどの被害があったと知りました。
東日本大震災や先日の能登半島地震など、日本で大きな災害が起きるたびに、「台湾からの支援」という言葉を耳にします。今回の地震に際しては、yahooや日本赤十字社、コンビニ各社などが募金活動を行なっています。自分たちが助けてもらった分、少しでもお返しになればと、私も早速コンビニで募金しました。
台湾で一番印象に残ったのは、映画「非情城市」の舞台になったことでも有名な九份でした。台北北部の海沿いにある街では、夕方になると無数の赤い提灯に火が灯され、レトロな雰囲気が漂います。急斜面にある街ということで、心配でしたが、大きな被害はなかったと知り、胸をなで下ろしました。
3日間の旅行を通じて感じたのは、台湾の人々が日本に親しみを持ってくれているということです。たくさんの人から日本語で話しかけられ、温かく接して頂きました。台湾最大規模と言われる「士林夜市」の屋台では、日本のキャラクターグッズが射的ゲームの景品として並べられていました。中国との関係性やコロナ禍でのITを活用した対策など、地震が起きる前から、「台湾」という言葉を耳にすることが多かったように思います。
そんな台湾を実際に訪れてみて、日本企業の商業施設、食品、車、インフラなど、街には想像以上に日本のものが溢れていました。能登半島の地震に続く今回の台湾地震。文化以外にも、「災害への備え」という点で、私たちは多くの思いを共有していることを感じました。今年から本格化する就活が落ち着いたら、今度は違った視点で台湾を訪れてみようと思っています。