池袋駅のシンボルとも言える西武池袋本店。2025年に大規模なリニューアルオープンを控え、転換期を迎えています。時代の流れに合わせた百貨店の姿を模索するなかで、どのような人材が求められているのでしょうか。人事部の久保田裕一さん(採用・教育担当)にお話を伺いました。(早稲田大学・原口諒一、写真も)
そごう・西武 「そごう」「西武」の百貨店を全国に10店舗展開する百貨店運営会社。2003年にそごうと西武百貨店が経営統合、2009年にはミレニアムリテイリング(持株会社)・そごう・西武百貨店の3社が合併し「そごう・西武」が誕生。2023年9月からはアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」が新たに株主となった。西武池袋本店は2025年1月以降、段階的に改装オープンを予定している。
チャレンジする姿勢と熱意
――そごう・西武では、どのような人材を求めているのでしょうか?
常に新しいことにチャレンジする姿勢と熱意を併せ持った人です。失敗を恐れずに前向きな姿勢で業務に取り組む上では積極性も重要になりますね。西武池袋本店は現在、リニューアルという大きな転換期を迎えています。企画力や行動力がある方にも是非入社していただきたいと思っています。
ーー活躍している社員の方々に共通する特徴のようなものはありますか?
社内での情報共有を密に行い、チームプレーで物事を進められるような人が多い印象ですね。一つの企画を成し遂げるにはアイデアも必要ですが、チームが一丸となることも重要です。コミュニケーション能力が共通の特徴かと思います。百貨店では接客も重要な業務です。コミュニケーションというと、会話のイメージが強いですが、例えば、お客様のオーダーにスピーディーに返答する行動力も含めて、コミュニケーションにおける重要な要素だと考えています。
――ネット通販の定着など、社会構造の変化は百貨店にとって大きな試練のように思います。
当社でも、店頭だけではなく、ECサイトでもサービスを提供しています。一方で、ネットで調べて店頭で実際に見て買いたい、というお客様も根強くいらっしゃいます。店頭販売にも引き続き力を入れていきます。販売員のスキル向上と、ECサイトの充実を組み合わせることで、幅広い選択肢を提供できると考えています。
リニューアルのテーマは「インクルージョン」
――2025年の西武池袋本店のリニューアルオープンについて、ニュースを目にすることが多いと思います。力を入れているポイントを教えてください。
改装のテーマは、「インクルージョン」です。例えば、「紳士服売り場」と「婦人服売り場」といったカテゴリーを取り払い、現代の多様な時代性に合わせた自由な売り場構成を展開していきます。そうすれば、家族連れや友人など一緒にショッピングを楽しむこともできます。もう一つ、百貨店の強みは様々な商材を扱っているところですが、ラグジュアリーやコスメ、デパ地下など、昨今のお客様ニーズが高い領域をこの改装で強化していきます。
――そごう・西武ならではの強みを教えてください。
新入社員として総合職で入社していただくと、まずはセールスとして外商部門、または商事事業部門に配属されます。個人のお客様を担当する「お得意様セールス」と、企業・団体向けにサービスを提供する「商事セールス」の2種類があります。どちらの仕事も、お客様との対話の中で商品知識を深め、若手社員の段階から高い接客スキルを習得することができる職種です。新人でも自分のアイデアで商品の提案を行ったり、新規のお客様を開拓したり、といったこともあります。このような業務を通して、営業力や行動力を身につけていくことができます。
――やりがいを感じるのはどのような時ですか?
人事を担当する前に、食品部門の担当だったときの話をします。年末年始は百貨店にとって重要な時期の一つです。多くのお客様が来店されるため、売り場にはアルバイトを増やして対応しました。ただ、そんな時でも、アルバイトのメンバーでは解決できないお客様からのご要望は社員である私がお応えしなければなりません。特に、クリスマス前後の3日間は次から次へと声をかけられることになり、文字通り「休む間もない」怒涛の日々。そんな多忙な時期を何とか乗り越えられたときに、大きく成長できたことを実感します。また、店舗の人事部では、新入社員のサポートを担当していました。外商部門や売り場に配属された後の成長を、現場の社員を通じて聞いた時には特にやりがいを感じます。自分が若手だった頃も重ね合わせてしまいますね。
久保田 裕一(くぼた・ひろかず) 横浜国立大学経営学部卒。2009年そごう・西武入社。西武池袋本店の食品売り場で販売を担当したのち、西武池袋本店の人事部を経て、2024年4月から、そごう・西武本部の人事部採用・教育担当。主に新卒の採用業務を担当している。
取材を終えて
消費者の嗜好が多様化し、ネット通販が拡大を続けています。自分の目で見て、満足したものを購入できるという点や、販売員との会話を通して満足のいく買い物ができるという点では、まだまだ百貨店にも独自の魅力があると感じました。取材後に足を運んだ「デパ地下」は、平日の昼間というのに、多くの人で賑わっていました。人々が絶えず訪れ、活気あふれる空間を作り出しているのは、久保田さんのような魅力ある社員の方々なのだと実感しました。
そごう・西武では、1dayもしくは3daysの仕事体験も毎月開催していきます。詳しくはこちらから。