チョコレート 手作りは甘くない??【カカオ豆から作ってみた】

 

 2月14日はバレンタインデー。ということで、チョコレートについてちょっと調べてみているうちに、様々な疑問がわいてきました。原料がカカオ豆というのは常識。でも、どうやったらあの甘い感じになるのでしょう??最近は「友チョコ」などもあり、チョコをプレゼントするのは女子だけではありません。せっかくの「おうち時間」。カカオ豆からのチョコレート作りに挑戦してみました!(東洋大学・佐藤道隆)

 

おいしいチョコは豆選びから

 「高校のころは徹夜でチョコを手作り。キッチンを占領するので家族にも嫌がられました」とキャンパススコープのあるメンバーは振り返ります。「お返し」を手作りする男子もいて、「3学期の一大イベントだった」と話してくれました。でも、さすがに市販のチョコを湯せんしたりする程度。「豆から手作りした」という話は聞きません。本当に作れるのでしょうか。

 まずは原料のカカオ豆が必要。ということで、通販サイトで購入しました。100g400円くらいでした。板チョコに比べると割高な印象です。カカオ豆は、フルーツの「種」にあたるそうですが、記事では一般的な「カカオ豆」に統一します。

 

 

 一般には、「フルーティーな香り」と紹介されるマダガスカル産のカカオ豆。鼻を近づけてみると、「フルーティー」には感じませんでしたが、既にチョコレートの香りがしたことに驚きました。

「産地によって豆の味が違うと言われるが、実際は農家ごとの違いも大きく、国だけでは豆の味の傾向を説明できないんですよ」と埼玉県熊谷市にあるチョコレートの専門店「ショコラティエ・アヌーク」代表の植木昌彦さん(58)が話してくれました。収穫したカカオを発酵させるのは主に現地の農家の役割。その方法が農家ごとに異なるため、豆の風味にも影響するそうです。カカオの産地として有名なアフリカのガーナは、国の管理も厳しく、ある程度統一された香りなんだとか。

 

炒って、つぶして、待つこと...

 早速、インターネットのレシピサイトを参考に作ります。まずは豆を洗い、フライパンを使って焙炒。しばらくすると、「パンパン」とはぜる大きな音がして、香ばしい香りが漂います。表面が黒くなるまで、20分程度火を通しました。

 火を止めて、カカオ豆の皮をむきます。

 

 

 すべて剥き終わるまでおよそ1時間かかりました。続いて、豆をすりつぶす作業です。コーヒーミルである程度砕いてから、すり鉢を使ってさらに細かくしていきます。

 ひたすら摺ること3時間、つぶれた豆から油分が染み出て、ようやくチョコレートらしくなってきました。部屋中にカカオの香りが漂います。ここにカカオバターと砂糖を加えます。

 

 

 型に入れて冷やして待つこと30分。見た目はとてもおいしそうですが、果たして。

 

 

 いざ、実食です!カリっとした、いつもの感触です。しかし、口に含んでみると、「じゃりじゃり」という違和感が。カカオの香りも強すぎて、市販のチョコレートとは程遠い味でした。うーん。なんでうまくいかないんでしょうか?

 

手間暇をかけて、あの味に

 再びショコラティエ・アヌークの植木さんに聞いてみました。まず工房では、リファインダーと呼ばれる「石うす」のような機械を使ってカカオ豆をすりつぶしているとのこと。1日8時間、3日かけてなめらかなチョコレートを作ります。「時間をかければ豆の酸味も抜ける。作りたいチョコレートに合わせて、かける時間も変えています」と話してくれました。市販のチョコレートが、いかに手間をかけられていたのかを実感しました。

 「義理チョコが面倒」など、若干ネガティブなイメージもあるバレンタインデー。「外出自粛で渡す相手もいない」という声もある中で、キャンパススコープのメンバーからは意外にも「家族に贈る」という声が目立ちました。あるメンバーは「一人暮らしを始めて、家族の有難みを実感した」話します。コロナ禍で見直される大切な人との絆。今年のバレンタインデーは日曜日と言うこともあり、日頃の感謝の気持ちを家族に伝えるいい機会といえるかもしれません。今回作ったチョコは、残念ながらプレゼントできるレベルではありませんでした。手作りの大変さを知ったからこそ、大切な人には、美味しいチョコレートを買ってプレゼントしたいと思います。

 

ショコラティエ・アヌークで販売されているチョコレート。一部商品はカカオ豆から製造されている

 

(2021年2月13日 11:17)
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