私の学部、なくなるってよ ~ 千葉商科大学全学再編記者会見

 

 

 止まらぬ少子化の影響で、大学の経営環境は厳しさを増しているといわれています。私が通う千葉商科大学は先日、大学全体の組織改編を発表しました。少子化は、大学の環境をどのように変えていくのか、記者会見を取材して考えました。(千葉商科大学・吉越彩絵、写真も)

 

「スラムダンクで言うと」

 

 「今回の改革は、私たちにとって、スラムダンク風にいうと山王戦だ」

 

 8月2日に日本プレスセンターで行われた記者会見。私が在籍する国際教養学部の常見陽平准教授は、このように話しました。人気バスケ漫画「スラムダンク」の大一番である試合に今回の改革を例えるという点に、大学側の強い危機感を感じました。

 

 今回の改革案は、現在の5学部7学科のうち、私たちの国際教養学部が24年度で募集を停止し、4学部・6学科へと再編するものです。全学部でグローバル教育を進めるとともに、商経学部経済学科と政策情報学部をもとに、新たに総合政策学部を設置する計画もあります。それぞれの学生のニーズに合わせた柔軟な教育環境の実現もうたわれています。この再編に伴って、教授たち教職員の43%の人事異動が行われるそうです。

 

 国際教養学部は、コロナ禍でカリキュラムの目玉でもある留学ができなくなってしまったほか、21年から定員割れの状態が続いていたこともあり、私たち学生からすると、「やはりこの日が来てしまったか」という印象です。今までどこか他人事のように思っていた他の大学の「募集停止」のニュースが、急に「自分ごと」になってしまったのです。

 

少子化の中、大学が生き残るには

 

 もちろん、今回の再編は暗いニュースばかりではありません。「100年いきる良識を。」と題して、学びのフレームや卒業要件を全学で統一する意欲的なものです。ゼミも全学共通となり、学部の壁を超えて選択することができるようになるそうです。

 

 この改革にあたって2020年6月からスタートした議論は、常見准教授をはじめ、若手から中堅の教職員が参加した「CUC未来会議」で行われました。「高校生のニーズにいかに大学が答えるか」「主体的に学べるようにするためにどのように環境を整えるか」が議論の中心で、常見准教授によると、「スリリングな議論もあって、片手で握手をして片手で殴り合うような場面もあった」そうです。
 
 3年生である私には、今回の組織改編は直接関係ありません。私たちの学部以外では定員割れも起きていないので、他学部の友人たちに聞いても、あまりピンと来ていないような印象もあります。大学を運営する千葉学園の内田茂男理事長は記者会見で、「18歳人口がこの20年で30%近く減っていく中で、社会に絶対に必要な大学にならなければ生き残れない」と話しました。私の学部は留学を売りにしていますが、先輩たちが実際に「グローバル」な環境で活躍しているかというと微妙なところです。そういった意味では、全学を挙げてグローバル教育に取り組む、という今回の改革は、私たちの学部の特徴を、より発展的に大学全体の教育方針に活かす、ということのようにも思います。

 

 私自身も秋以降、就職活動が本格化していきます。これまでの学びをどのようにキャリアに活かしていくのか、先輩の経験も参考にしながら、しっかりと考えていきたいと思っています。

 

(2023年9月 9日 21:00)
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