中高生たちの「居場所」を作りたい――。学校でも、家でもない第3の「学びの場」を提供する大学生たちがいます。ポストコロナへ、次世代のための居場所づくりに取り組む姿を取材しました。(法政大学・髙山美悠)
勉強・読書・くつろぎの場も
京王線多磨霊園駅から歩いて2分のアパートの1室。Co-study space Posseには、勉強の場であるメインスペースや、気軽にコミュニケーションできる場、読書やくつろぎの場である個室もあります。
「大学生が勉強を手伝ってくれるし、自分のペースで取り組める」。3年生の男子中学生はPosseの魅力をこう話します。自宅には兄弟がいて、学校の勉強や宿題になかなか集中ができないため、週3日、2~3時間ペースで利用しているそうです。
「中高生がやりたいことを応援したい」。Posseを運営する一般社団法人 Youth Action for Fuchu事業代表の村元義樹さんと大谷恭平さんが話してくれました。料金は1回100円。1000円で1か月何度でも利用できるプランもあります。活動を支えるのは大学生を中心とするスタッフ約20人。勉強や読書などをサポートし、「中高生がありのままの自分で、可能性を広げることができる場」を目指しています。
村元さんと大谷さんは、大学受験浪人だった2018年~2019年、府中市民活動センター・プラッツの自習スペースで勉強していた時に出会いました。プラッツの職員4人も加え、「府中で何か面白いことができないか」と話し合ううちに生まれたのがPosseでした。
クラウドファンディングでアパートのリノベーション費用を集め、オープンにこぎつけたのは2020年2月。約1か月後にコロナ禍が襲いました。「ステイホーム」の日々。4月に立ち上げたオンラインの「ポッセアカデミー」は、「おうち時間で中高生と世界を繋ぐ」をテーマに、学校が始まるまで、完全無料でほぼ毎日配信を続けました。延べ200人以上の中高生が参加し、「様々な分野に取り組む人の話を聞き、意識が変わった」「勉強に対する苦手意識が無くなった」などの反響がありました。2020年6月に対面での活動を再開。ポストコロナへ、大学生スタッフと地域の大人との繋がりを強化できるように活動しています。誕生日会やクリスマスパーティーなどのイベントも企画して、中高生たちの学ぶ意欲につなげてもらおうと考えています。
私自身、高校1年のカナダ留学中にコロナ禍に見舞われ、異国で外国人として生きることの難しさを痛感しました。様々な不安を感じることが多い時期に、大学生がサポートしてくれる場があるのは心強いと感じました。