埼玉県立浦和高校は4月7日、文科省のスーパーグローバルハイスクール事業の一環として英国ケンブリッジ大学OBらを講師に招いた春季特別英語セミナーを行った。
「WhyとHowを常に考えて」と教えるタチアナさん |
ラグビー部員たちとの交流は、力自慢などで大いに盛り上がった |
英語教育のプログラムを行うため来日したケ大OBスチュアート・エルさんが、読売新聞教育ネットワーク参加校の同高校に打診して実現した。
セミナーの講師陣は、ケ大で近世英語を教えるスコット・アネットさんやケ大認定国際英語教員資格を持つタチアナ・ダミヤノビッチさんら6人のほか、同高校外国語補助指導教員(ALT)2人も参加。今夏に海外留学する生徒と英語部員の計12人を約5時間にわたり指導し、生徒たちは「英語漬け」の一日を過ごした。
マンツーマンで英語漬け
セミナー前半はスピーチ・クリニックで、12人が事前に準備してきた課題スピーチ「将来の夢」を講師たちがマンツーマン指導した。「病理学者になりたい」という生徒には「英語を学ぶ視点、『WHY』を加えると説得力がでてくる。今、書いてみよう」と指示。文章構成についても「聞き手をひきつけるストーリー性がほしい。少し変えるだけでいいんだ」とアドバイス。発表する時の姿勢からイントネーションまで教え、「君たちは声が小さい。私とどちらが大きな声を出せるかな?」と勝負するシーンも見られた。2時間半の指導を受けた後のスピーチ発表では、笑いを取る工夫をしてやんやの喝采を受けたり、会場に問いかけたりする生徒が相次ぎ、講師から「エクセレント」「最初と比べて上達した」と講評された。
また、講師6人のうち4人がケ大ラグビー部OBや現役選手のため、昼休み前に同高校ラグビー部員たちもセミナーに顔を出し、30分ほど交流を楽しんだ。
Small talkを生かそう!
後半は「どうしたらスムーズに話せるようになるのか」を追求するワークショップ。
初対面の人とあいさつする際のスキルについて講師のスコット・アネット氏は、「スモール・トーク(Small talk)、いわゆる、ちょっとした世間話が信頼と友情をつむぐ第一歩となる」と指摘、会話へ発展させる流れを説明した。
1. まず握手:相手の目を見て笑顔、が基本。遠慮がちな握手ではなく、しっかり握ろう!
2. 名前で呼ぼう:親密になるには名前を覚えるのが大切
3. Small talk:天気、仕事、家族、時事ネタなど、様々なシーンに対応できるよう練習したい
4. Small talk後に本題へ:世間話で親密になれたら、本題に入ろう。Small talk上手は世界中にネットワークを作れる
セミナーの締めくくりに、模擬就職面接が行われた。「今日学んだスピーチのコツ、スモール・トークを総動員しないといけない。Let's go!」と促された生徒たちは、それぞれ講師とペアとなり、企業面接者と学生の2役に交互に挑戦した。
ケンブリッジ流、参考になる
常に笑顔で接する講師に、生徒もリラックスして話せるようになった |
「我が社に貢献できるポイントは?」「強みと弱みを教えてください」など面接者として講師をインタビューする生徒たち。セミナーを見守った英語科の小河園子教諭は「ケンブリッジ流の教え方も参考になる」と話し、同高ALTのスコット・エイキンさんも「これほどリラックスして英語を話すのは見たことがない。12人は自信をつかんだと思う」とセミナーを振り返った。
硬式テニス部員で2年生の土山光陽さんは「準備したスピーチを褒めながら添削してくれ、会話が弾んだことが嬉しかった。『英語は教科の一つ』としか思っていなかったけれど、考え方が変わった」と話し、JR浦和駅まで講師たちを見送った。