読書と新聞活用を呼びかける「活字の学びを考える懇談会」発足(各委員の発言詳細)

活字の学びを考える懇談会の会長に就任した作家の阿刀田高氏(右は同会委員で作家の浅田次郎氏)

 読解力の向上に向けて読書と新聞活用の重要性を訴える「活字の学びを考える懇談会」の第1回会合が11日、国会内で開かれた。有識者や日本新聞協会、日本書籍出版協会、超党派の国会議員連盟の代表らが出席し、電子メディアと印刷メディアのバランスの取れた学校教育の実現を求めるアピールを発表した。

 

 会合では、会長に就任した作家の阿刀田高氏が、全国の小中学校での学習端末「1人1台」配備に触れ、「デジタルに熟達するのは大切だが、活字文化の地盤がしっかりしないと次の人材は育たない。次世代のために役立つことをやっていきたい」と述べた。

 

 委員には、作家の浅田次郎氏、歌人の俵万智さん、建築家の安藤忠雄氏らが就任している。

 

■出席者の主な発言は以下の通り(敬称略)

浅田次郎(作家)

家に端末があるかどうかといった家庭環境の違いで、子どもたちの学びに不公平が生じてはならない

相賀昌宏(日本書籍出版協会理事長)

図書館の本とデジタルをつなぐ学校司書の役割がますます重要になる。デジタルに足りない部分を紙のメディアがどう補完していくか考えていかなければならない

山口寿一(日本新聞協会会長・読売新聞グループ本社社長)

デジタルと活字とのバランスの大切さを多くの人々に思い起こさせる努力が必要だ。子どもの身近なところで活字、読書に親しむ機会を提供する取り組みを展開したい

河村建夫(衆院議員・子どもの未来を考える議員連盟会長)

デジタル時代にどう対応するのか。子どもの読書習慣をどう作っていくか。そこをおろそかにしてはならない

笠浩史(同・学校図書館議員連盟事務局長)

教育の現場はコロナ禍もあってスピード感を持って変わっていく流れにある。どうバランスをとって向き合っていくか、皆さんのご意見を伺いながら政策に反映させていきたい

肥田美代子(文字・活字文化推進機構理事長)

子どもの教育に関わる多様な分野の人々と連携し、シンポジウムや講演会を開くなど息の長い取り組みを続けたい

国会内で開かれた「活字の学びを考える懇談会」の第1回会合

■委員名簿(敬称略、五十音順)

【会長】阿刀田高【事務局長】肥田美代子【顧問】河村建夫▽細田博之(衆院議員・活字文化議員連盟会長)▽笠浩史

【委員】浅田次郎▽安藤忠雄(建築家)▽相賀昌宏▽小川恒弘(日本製紙連合会理事長)▽片山善博(早稲田大学大学院教授)▽金子真吾(日本印刷産業連合会会長)▽川島隆太(東北大学教授)▽酒井邦嘉(東京大学大学院教授)▽設楽敬一(全国学校図書館協議会理事長)▽竹下晴信(日本児童図書出版協会会長)▽俵万智(歌人)▽堀川照代(放送大学客員教授)▽柳田邦男(ノンフィクション作家)▽山口寿一▽山根基世(アナウンサー)

 

(2020年6月16日 13:43)
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