ビブリオバトル秋田大会...高校は山田煌真さん、中学は加賀心結さんV

山田煌真さん(左)と加賀心結さん

 中高生がお薦めの本を紹介し、聴衆が読みたくなった本に投票して順位を決める「ビブリオバトル秋田県大会」(秋田県教育委員会主催、読売新聞秋田支局後援)が11月29日、秋田市の秋田拠点センターアルヴェで開かれた。地区予選を勝ち上がった中学生7人と高校生6人が、本の魅力を熱弁した。

 

 高校生の部では「クローズドサスペンスヘブン」(五条紀夫著、新潮社)を紹介した県立秋田南高の山田煌真(こうしん)さん(1年)、中学生の部では「さくらのまち」(三秋縋著、実業之日本社)を紹介した県立秋田南高中等部の加賀心結(みゆう)さん(3年)が優勝した。2人は、いずれも来年に東京都で開かれる全国大会に出場する予定。

 

高校のチャンプ本「クローズドサスペンスヘブン」

山田煌真さん 秋田南高1年

 冒頭から「作品の舞台は天国です」と、衝撃的な設定を紹介。何者かに殺された主人公は5人の死者仲間とともに天国の洋館で共同生活をするが、実は皆がこの中の誰かに殺されていた──という筋書きを畳みかけるように語った。

 緊張感あふれる物語だが、「ちりばめられたコミカルな要素」が魅力の一つだと説明。仲間たちは「コック」や「メイド」など見た目そのままの名前で呼ばれ、容姿が整っている主人公は仲間から「イケメン」というあだ名を付けられそうになる場面があるという。

 終盤には「ところで、主人公のあだ名が『イケメン』になりそうだったことを覚えていますか。これが事件を解く鍵になります」と明かし、聴衆の関心を引き続けた。

 2023年の県大会でも中学生の部で優勝した。今回は直前に風邪を引いてしまったというが「なんとか間に合って、光栄な賞をいただけてうれしい」と笑顔だった。

 

中学のチャンプ本「さくらのまち」

加賀心結さん 秋田南高中等部3年

 「秋田県の自殺率はとても高い。私はこの本を、人ごととして読むことができませんでした」。そう振り返って、物語のあらすじを語り出した。信頼していた2人の友人が、実は自殺防止のために国が手配した「偽りの友人(サクラ)」であったことを知った主人公。ところが大人になった主人公の元に、その友人の一人が自殺したという知らせが舞い込む──。

 人を疑い、過去を悔やむ主人公の心理を、現代社会を生きる人の悩みと重ね、「あなたの過去を見つめ直し、今を変え、未来を作る本です」と断言。「最後に一つ。私はこの本のサクラではございません!」と締めくくって喝采を浴びた。

 昨年は2位と悔しい思いをしたが、2回目の出場で初の栄冠をつかんだ。「全国大会に向けて練習し、多くの方に本を手に取ってもらえるよう、聞きやすい発表をしたい」と意気込んだ。

 

ほかの入賞者

 【高校生の部】2位:桜田雅さん(県立能代松陽高3年)

 【中学生の部】2位:佐藤結陽(ゆうひ)さん(県立秋田南高中等部2年)

(2025年12月 5日 19:40)
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