持続可能な未来描く「NRI学生小論文コンテスト」大賞に平松さん、中島さん

最終審査に残った9組の入賞者と審査員ら

 高校生、大学生が世界に向けて未来を提案する「NRI学生小論文コンテスト2021」(主催=野村総合研究所、略称NRI)の最終審査会が昨年12月に東京都内で開かれ、高校の部では、函館白百合学園高校2年、平松明華(はるか)さん(17)、大学の部では新潟大学3年、中島寛音(ひろね)さん(20)がそれぞれ大賞に選ばれた。平松さんには副賞30万円、中島さんには副賞50万円が贈られた。


 

 第16回目となる今年のテーマは、「サステナブル未来予想図」。持続可能な社会の実現に向けての提案をまとめた作品3,043部(高校の部2,778部、大学の部265部)の応募があった。

 最終審査会では、高校生5人と大学生4組が特別審査員の池上彰氏(ジャーナリスト)や最相葉月氏(ノンフィクションライター)らの前で、それぞれの論文を6分間ずつプレゼンテーションし、審査員の質問に応えた。

 

エシカルな縫製工場

 高校生の部の大賞に選ばれた平松さんは、誰もが搾取されることなく、安全に働け、公正な取り引きで、適正な賃金を得ることができる縫製工場の設立を提案した。

 小論文のタイトルは、「バングラデシュから始まるエシカルファッションの時代 ~縫製工場 Clothes Mom」。

 エシカルとは、倫理的、道徳的という意味で、エシカルファッションとは、人権や地球環境など様々な観点から「最善の」選択をするという考えに基づいたファッションのことだという。

 平松さんは、バングラデシュの首都ダッカ近郊で2013年、約1600人もの死者・行方不明者を出した縫製工場の崩落事故を紹介し、「工場で働く女性たちは、倒壊の心配があるとして避難勧告が出ていたにも関わらず、仕事を失う恐怖から、工場で働き続けた。女性たちが安心して働け、適正な賃金を得る環境作りが大切だ」と熱弁をふるった。

 最相葉月さんが、「フェアトレードなどの商品はどうしても高いという印象がある」と指摘すると、平松さんは、「フェアトレードの商品が高いのではなく、人々の犠牲の上に成り立っているファストファッションが不当に安過ぎる。適正な価格で、作る人、買う人、そして環境にもいい仕組みを定着させたい」と強調した。

 

ひよっこドクターの活用

 大学生の部の大賞に選ばれたの中島さんは、新潟大学医学部の3年生。医師不足に悩む地域の多い新潟県の現状に触れ、医師の卵であるスチューデントドクターの活用を提案した。

 スチューデントドクターは、医学生を対象に臨床実習前に行われる評価試験「全国共用試験」に合格した学生。指導医の監督の下で一部の医療行為が行える。

 中島さんは、スチューデントドクターを「ひよっこドクター」と名付け、地域に「ひよっこドクターのほけんしつ」を設けることを提案。地域におけるかかりつけ医の不足の解消や高齢者の孤独問題の解決につながるだけでなく、「ほけんしつ」で医学生が患者を診るという貴重な経験は、医学生にとっても学びが多いと説明した。

 池上彰さんは、「とても有用な話。例えば、厚労省を動かして、ひよっこドクターの指導医になれば、保険点数をつけるようにすれば、地域の医師会の協力も得やすいだろう」とアドバイスを贈った。

 

動画など詳しくは>>こちら(NRIウェブサイト)

 

(2022年1月17日 11:33)
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