試行錯誤を高く評価 環境大臣賞に
高校を対象とした2020年開催の第5回全国ユース環境活動発表大会(環境省など主催、読売新聞社後援)で環境大臣賞を受賞した、広島県立世羅高(世羅町)は、廃棄されるニシキゴイの稚魚を活用し、魚醤(ぎょしょう)や肥料にする取り組みが高く評価された。
県内ではニシキゴイの養殖が盛んだが、発色が良くない稚魚が大量に処分されているという。そうした状況を知った世羅高農業経営科の3年生たち14人のメンバーは、17年度から活用法の模索を始めた。まずは、授業で習った魚醤を作ろうと、養殖業者から稚魚を譲り受けた。発酵させるために漬ける食塩の濃度を変えながら実験を重ねた結果、まろやかな味に仕上がった。
魚醤の製法を応用し、さらに多くの稚魚を有効に使うため、肥料の製造にも取り組んだ。当初は水で煮ると淡水魚特有の臭いが漂ったが、加える塩分の濃度を海水と同程度にすると、問題は改善。発酵させる温度や添加する乳酸菌を変え、完成にこぎ着けた。この肥料で稲の栽培実験をしたところ、順調な生育が確認できた。
全国大会では1年生5人が活動を紹介した。今後は、稚魚の活用法が地域で実用化されることを目標にしている。吉儀智也さん(16)は「先輩の思いを継いで研究を重ねたい」と言い、松木瞳吾(とうご)さん(16)は「みんなで協力し、素晴らしい成果をレベルアップしたい」と語った。