大学を歩く:リーダーの役割実感 2014年の成績は 山口東京理科大学(2)

2013年に製作したレーシングカーを囲む学生たち

<<「ものづくり教育」車の開発で連帯感と向学心


 2014年9月、静岡県で開かれた「全日本学生フォーミュラ大会」。山口東京理科大の学生フォーミュラチームは完走と総合成績30位以内を目指し、3回目の参戦を果たした。しかし、エンジントラブルでタイムが伸びずに最後の審査に進めず、総合成績も90チーム中61位と目標に届かなかった。


▼チームリーダー:石本和聖さん(機械工学科4年)

 大学でのテスト走行では車の調子は良かったのに、大会本番でエンジントラブルに見舞われました。最終ステージが目に見えていただけに、悔しかった。いま振り返ると、車を煮詰めきれずに本番でボロが出てしまったのだと反省しています。

 唯一の4年生としてチームリーダーを任され、初めは上から指示を出してばかりいました。しかし、それでは後輩たちはついてきてくれない。貴島先生にも相談し、みんなが動きやすい環境を整えてあげるのがリーダーの役割なのだと気づきました。

 大会の総合成績の順位は落としましたが、チームマネジメント能力や意識の向上、車両の完成度などは大きく向上した一年になったと確信しています。来年度こそは最終ステージに進んでほしい。その希望を後輩たちに託します。

 学生フォーミュラの活動を通して、一台の車をつくり上げるという得がたい体験ができました。失敗を通してたくさんのことを学び、ものづくりは理屈だけでは進まないことが身にしみて分かりました。

 春からは大学院に進みますが、将来は技術開発系のエンジニアになりたい。その時、学生フォーミュラ中心に過ごした濃密な4年間の学生生活が役立つはず。そう信じています。


▼貴島孝雄教授

 学生フォーミュラにとって一番大切なことは、結果ではありません。マシンをつくり上げる過程を通して、学生たちが何を学んだか。大会を通して、いくつもの課題を乗り越えていった学生たちは、いいエンジニアになるベースを身に着けたはずです。リーダーの石本君は親分肌というか、最初は命令すれば下が動くものと勘違いしていた。でも、メンバーにいかに動いてもらうかが大事だと気づいてからは、チームもまとまっていきました。「車をつくり上げるスケジュール管理が甘かった」という反省点を共有した後輩たちが、来年度の大会に向けてどう成長していくか。楽しみです。


全日本学生フォーミュラ大会 学生にものづくりのおもしろさや厳しさなどを実感してもらおうと、自動車技術会が2003年から開催する。学生が企画・設計・製作したレーシングカーを、走行性能だけでなく様々な観点から評価。審査種目には①車検、②静的審査(コスト、デザイン、プレゼンテーション)、③動的審査(加速試験、周回路走行など)があり、総合得点を競う。

(2015年1月28日 09:29)
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