熟成するスクラップ・ブック
紙面では我が家の「スクラップ・ブック」の活用法をお話しました。親子の対話で大事なのは、親から子に話しかけること。でも、実際にやってみるとわかりますが、ネタ探しが案外大変だったりもする......。そんな時に効果的なのが、我が家の場合は気になる記事を切り抜いたスクラップ・ブックです。
出社前でも帰宅後でもいいんです。新聞記事をネタにクイズ形式で子どもたちに話しかけていると、自分の「話術」も磨かれ、プレゼンテーションの練習にもなりますよ。
新聞記事のスクラップと聞くと面倒にも聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。実はハサミを使わなくても、強めに折り目を入れて手で破くだけで大丈夫。新聞紙は縦には破りやすくても横は破りにくいというちょっとした「豆知識」も重要です。
私にとっては、このネタの宝庫のスクラップ・ブックを使って、子どもたちにクイズを出したり、会話をしたりということを繰り返しました。子どもたちの成長に合わせて、古い記事を活用することもありました。
子どもに「クイズだよ」と持ちかけると、「植物の話?それとも動物かな、食べ物かな」と乗ってくる姿は本当に愛らしかったですね。小学校高学年では、「バリアフリー」をテーマにいっしょに記事をスクラップして、夏休みの自由研究に仕上げたことも、スクラップ活用のいい事例だと思います。
私にとって、新聞は世の中の最新の出来事を得るというだけのツールではなく、常温で保存が利く情報の「保管庫」のようなものだと思っています。以前にスクラップしておいた記事でも、子どもの成長に合わせてタイミングよく提示することができるところなんて、まるで熟成されたワインのよう。スクラップ・ブックは、ちょっとしたワインセラーのような存在にもなる......。新聞ってやっぱり、いいよね!
新聞には、親子の対話に役立つきっかけやヒントがたくさんあります!
酒井勇介:教育支援会社「エデュピーチ」社長。早大卒業後、学研を経て、現在は家庭教育プロデューサー。学校、家庭で新聞の活用を訴える「新聞大使(アンバサダー)」を自任し、全国で講演活動を続けている。春の象徴である桜より一足早く咲く桃の花のように、多くの子どもたちの才能をいち早く開花させたいという思いから、主宰する会社の名前にも「ピーチ」をあしらっている。
前へ<< |