2030 SDGsチャレンジ

都会の緑を守り、育てる(東京・板橋区立緑小学校)~読売SDGs新聞から~

ボランティアの指導でタケノコ掘りに挑戦しました

 

マンション群の学校でタケノコ掘り

 スコップを手に斜面を駆け上がった子どもたち。土の中から頭を出したタケノコを見つけ、夢中で掘っていきます。

 「うわー、大きすぎる。手伝ってくださーい!」。大人たちが、タケノコの根元にツルハシを2度、3度振り下ろすと、両手で抱えられるほどの立派なタケノコが掘り出されました。1時間ほどで集められたタケノコは、50センチを超える「大物」から、10センチくらいのものまで、さまざま。それぞれが家に持ち帰って、竹の子ご飯や煮物にして食べました。

 タケノコ掘りを体験したのは、東京都の板橋区にある区立緑小学校の4年生と6年生たち。都会の大きなマンションが集まる地域の学校に通いながら、自然の恵みを体験し、地球環境を守るためにできることを学んでいます。

 

 東京都板橋区立緑小学校は、大きなマンションが集まる地域にある学校です。裏山の竹林を活用して、春にはタケノコ掘り、秋には竹細工作り――と、1年を通じて、学年ごとに学びを深めています。

 「虫が多くていやだったけど、大人の人が助けてくれたから楽しかった」。4年生の女の子は、泥だらけになりながら笑顔で話しました。手伝ってくれたのは、学校のそばにあるマンション「サンシティ」に暮らす人たちでつくる「グリーンボランティア」です。自分たちのおじいさん、おばあさんくらいの年齢のボランティアと力を合わせての作業。市之瀬輝明校長先生は、「地域の人に見守られながら、自然を守る大切さを学んでほしいですね」と話します。

 

 

「読売SDGs新聞」2022年夏号が完成しました 

「SDGs@スクール チャレンジ校」の児童・生徒のみなさんに年2回配布している「読売SDGs新聞」の最新号が完成しました。身近な川のごみを拾い、NPOの人たちと一緒に、地域の自然を守ることを学んだ小学生の取り組みをはじめ、身近な「食」を守っていくにはどうすればいいか、など、SDGsの取り組みを始めるためのヒントを紹介しています。新聞は「SDGs@スクール チャレンジ校」の参加校に無料で配布します。申し込みは、<<こちらから

 

手を加え、竹林を守る

 武蔵野の丘の上に立つサンシティは、1970年代の終わりにできた大きなマンションの集まりです。14棟、1872戸が立ち並び、樹齢250年以上ともいわれる「スダジイ」など、5万本もの木々に囲まれています。グリーンボランティアは、この緑を守り、育てていくためにはじまりました。
 「風の強い日は土ぼこりで目もあけられないくらいだったんだよ」。80歳を超えるボランティアのお年寄りが、活動をはじめたころの様子を話してくれました。マンションに人が住み始めて20年ほどがたった90年代の終わり。中庭の木々は荒れ果て、管理されない竹が生い茂って暗い雰囲気だったそうです。
 「マンションの自然も、住んでいる人が手を加えて守っていくことが大切です」。ボランティアの手助けをしている管理会社の大橋力也さんが話します。人の手が届く高さの木の枝を切ったり、生け垣の下草を刈ったり、という日頃の地道な作業に、年間のべ1500人ほどのボランティアが汗を流しています。

 


 新型コロナウイルスの感染拡大で、2年前にタケノコ掘りができなかった6年生。ボランティアたちの協力で、4年生の1週間後に体験することができました。「4年生がたくさん掘っちゃったけど、またはえてきたから大丈夫!」というボランティアの言葉通り、わずか1週間で成長した100本ほどの立派なタケノコがとれました。タケノコは成長が早く、人が管理しないと、隣の土地などにもどんどん広がっていきます。土の中に強く根を張るため、広がりを抑えるのも一苦労です。全国で、手入れされない竹林が少しずつ増えているのです。


 「ちょっとした活動に参加することが大切だとわかった」。サンシティに住む6年生の女の子が真剣な表情で話します。都会の緑を自分たちの手で守り、自然の恵みを活用する――。活動のバトンが、受け継がれていきます。

 

 

学校の裏山ではシイタケも栽培されている

 

やっかいな竹林
 竹は地面に張った根から周りにタケノコを発生させて広がっていきます。林野庁によると、国内の竹林の面積は少しずつ増えているそうです。竹林を持っている人が高齢になり、管理が行き届かなくなっているからだそうです。竹が周囲の雑木林などに入ってくると、ほかの木々が成長できなくなってしまいます。竹林だけが増えると、環境を守るのに大切な「植物の多様性」が失われてしまうのです。

 


(2022年7月 8日 17:02)
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