2030 SDGsチャレンジ

雨水で野菜育てる(宇都宮市立豊郷中央小学校)

雨水タンクから汲んだ水で苗に水をやる2年生=豊郷中央小提供

 

宇都宮市立豊郷中央小学校・堀内多恵先生

 雨水をためるタンクの水を、児童の野菜作りに活用しています。2年生はミニトマトやナス、きゅうり、ブロッコリー、枝豆、オクラなどの野菜の苗を生活科の授業の中で育てていて、苗の成長を楽しみにしながら、毎日、楽しく水やりをしています。

 

 雨水タンク(1.2立方メートル)は、昨年校内に1基設置されました。2019年の台風19号で、市内の広範囲が浸水したことがきっかけです。万が一、豪雨で浸水したときには、タンクの水で堆積した泥を洗い流します

 雨水タンクの水を野菜の育成に使っているところがあることを図鑑で知った児童が「自分たちも使いたい」と言い出し、今年度から植物への水やりにも活用することにしました。大容量のタンクなので、植物に使っても水はたっぷり残っています。校庭の水まきなどにも使いながら、水を有効活用することの大切さを子どもたちと一緒に実感しています。

 

 児童たちは、1学期に収穫できた野菜は家庭に持ち帰り、調理や食べる様子を写真や絵日記で報告してもらう予定です。6月に苗を植えたさつまいもは、秋の収穫時に給食でいただきたいと思っています。

 

 このほか、環境美化委員会では、1リットル入り牛乳パックで作った傘立てを全校児童約800人分作り、紙ゴミの再利用と校内美化に努めています。雨の日は、傘立てのある昇降口は混雑が避けられませんでしたが、1本の傘が牛乳パック1つにきっちり収まることで傘の出し入れがスムーズになり、玄関がすっきりしました。ニュース委員会では、SDGsに関連する新聞記事を探し、校内に掲示しています。自分たちにできることから少しずつ活動を広げていきたいと考えています。

 

雨水タンクから水を汲む2年生

玄関に備え付けられた紙パック傘立て

校内に貼るSDGs関連記事を手にするニュース委員会の児童たち(いずれも豊郷中央小提供)

 

CHECK!身近なことが入り口に

 雨水タンクの水を栽培に使いたいと提案した子供たち。まさにSDGsをじぶんごととして始めています。自分の身の回りにある問題を身近なことがらで解決しようとする行動が実は、SDGsへの入り口だと教えてくれる実践ですね。雨水の他にも災害用の井戸の定期的なくみ上げ水を貯水している実践もありますね。

読売新聞東京本社 教育ネットワーク・アドバイザー 田中 孝宏


(2021年7月28日 13:00)
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