2030 SDGsチャレンジ

かんきつ類の果皮を無駄なく活用 石川翠星高校(先生選考賞)

地域産業発展にも貢献

 高校生が独自の視点で取り組む環境保全や地域創生の活動を発表する2020年の「第5回全国ユース環境活動発表大会」(環境省など主催、読売新聞社後援)で、先生選考賞に輝いたのは、翠星高校(石川県白山市)の食品科学研究会。「金沢ゆず」などのかんきつ類の果皮を無駄なく使う「廃棄果皮0システム」を考案し、その取り組みが高く評価された。プロジェクトリーダーを務めた同校3年の太田風音さん(18)は「先生方に認めてもらい、うれしい」と喜んでいる。

 

 地元素材を使ったスイーツの開発などを通して地域産業の発展を目指す研究会には、1〜3年の11人が所属する。以前から汁を搾った後の金沢ゆずの果皮を使ったお菓子などを作っていたが、2017年、金沢ゆずの生産者から、地元のゆずや加工品の販売イベントへの参加を依頼された。その際、汁を搾った後の果皮のうち、半数ほどが廃棄されていることを知り、当時のメンバーは、廃棄されるゆずの果皮をなくす計画に本格的に取り組むことにした。

 

 メンバーはまず、果皮を砂糖煮にして販売することを考案した。汚れた果皮は食用に適さないため、オイルを抽出してせっけんやキャンドルとして商品化した。抽出後の残りかすは炭化させて畑にまくことで、捨てられる果皮はゼロになった。18年からはこうした一連の流れを「廃棄果皮0システム」と名付けて、生産者に売り込んだ。現在、県内では金沢ゆず、能美市の「国造ゆず」の生産者と、埼玉、愛媛県の生産者が実際にシステムを採用している。

 

 太田さんは1年生の時から計画に携わった。「システムを生産者に採用してもらうため、利益を考えるのが大変だった」といい、果皮の砂糖煮をそのまま売るだけでなく、お菓子に混ぜ込む材料として企業に販売するなど工夫を凝らした。「生産者が(果皮を再利用した商品の)販売先を確保したとき、大人にも動いてもらえるんだと思えた」と当時の感動を振り返る。

 

 研究会の次なる目標は、システムの幅をさらに広げていくことだ。かんきつ類だけでなく、木から実を落とし、出荷できなくなった梨なども、システムで採用できるのではと考えている。

 

 1年の山田真穂さん(16)は「頼れる先輩たちの後でプレッシャーもあるが、地域農業を盛り上げたい」と期待に胸を膨らませた。


(2020年2月27日 09:00)
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